まずは、オンナ目線の作業について。女性の気持ちを理解するためには「オンナ目線」の学習が必要。左脳思考の強い男性は、マニュアルやトリセツを読んでオンナ目線を理論的に学習し理解したがります。ボクも会社の先輩から「女性社員とはこう接しろ」と教えを受けましたが、頭でっかちになるだけで女性の気持ちは分かりませんでした。ボクが女性の気持ちが何となく分かるようになったきっかけは、新社会人研修での“人生初体験”でした。それは、
ブラジャーを、着ける。
女性用下着を着けて、わかったこと
誤解のないようにお断りしておきますが、女性下着会社の男性社員に必ず試着研修があるわけではありません。多分ボクだけの体験です。それは新人時代にミシンでブラジャーを作る研修での出来事。初めてこの手でつくったブラジャーができた瞬間、自分が作った道具を使いたくなる人間の本能が働いたのか、思わず身につけてしまったんです。
男性諸君にはなかなかご理解いただけないかもしれませんが、背中でホックを留めた瞬間、なんだかテンションが上がる感じがします。これは、男性下着にはない感覚です。そこで、まさに肌で感じたのは、「あ!女性は身の回りのモノで気持ちがアガるかどうかが、最重要事項なんだ!」ということ。オンナ目線で行動し、その価値観に共感する。女性の気持ちが分かるきっかけとなる、貴重な体験でした。
さらに女性下着営業のある基本作業を通して、オンナ目線の体験学習を積み重ねることができました。それは、
ブラジャーたたみ。
外食店員の皿洗い。スポーツ選手のタマ拾い。さまざまな仕事で、商品を扱う基礎作業を反復的に叩き込むプロセスがあります。最初はやっぱり、人前でブラをたたむ自分が恥ずかしかったのですが、毎日たたんでいるうちに「これを身につけると、女性はテンションが上がるんだよな……」という気持ちになって、商品へのリスペクトが生まれます。商品と顧客に自然と関心を持つようになるんです。そして日々無数のブラジャーをたたんでいると、商品によってデザイン・素材・形が違うことに気づきます。すると「あ、このレースはオシャレ女性が好きそう」「肩紐ずれないこのタイプはカップ大き目の女性に喜ばれそう」とオンナ目線に同化できるようになるんです。
オンナ目線で彼女たちの行動を体験し、オンナの価値観に共感する。とはいえ、社員でもない普通の男子がブラジャーをたたむと白い目で見られる危険性がありますが、女性が行くお店を体験する、女性の役割とされる仕事をやってみる、そんなオンナ目線の地道で遠回りな行動学習が、女性の気持ちを分かる最短距離である。これが、女性下着営業の仕事を通じて学んだお作法です。
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