Tモバイルは、なぜ驚異的な成長を遂げたのか

キャリアの常識を「壊す」戦略を実施

Tモバイルの加入者数は、2012年の3300万人から7200万人へと急成長した(筆者撮影)

2012年、3300万人の加入者を集める業界第4位だったTモバイルは、2015年7月の段階でそれまで長らく3位だったソフトバンク傘下のスプリントを追い越した。2016年になってもその勢いは衰えず、最初の9カ月で230万人の加入者を上乗せしている。2017年3月下旬には7200万人の加入者を達成した。

アドビシステムズが3月にネバダ州ラスベガスで開催したデジタルマーケティングのイベント「Adobe Summit 2017」の基調講演に登壇したTモバイルのデジタル担当上級副社長、ニック・ドレイク氏は、5年間の成果に触れ、その秘密が「顧客体験」にあったと指摘した。

ドレイク氏は、Tモバイルについて「顧客中心で、顧客体験以外に興味がないデジタルカンパニー」と称する。また、テクノロジーやサービスのイノベーションは、顧客体験を向上させるために起こすものだと説明する。そのために必要なことは、あらゆる社員、役員であっても、顧客との対話を行い、彼らが何を求めているのか、何に困っているのかをリアルタイムで知っていることが重要であり、デジタルカンパニーとはそういうものだと説く。

実際、TモバイルのCEOであるジョン・レガー氏は、Twitterアカウント(@JohnLegere) で積極的に情報発信と顧客との会話を行っており、プレスリリースも自らがビデオに登場して行うスタイルが定着している。

レガー氏はCNBCのインタビューで、普通ではないトランプ大統領に寄せて「大統領としての規範を無視して勝負に勝った、自分もCEOとして同じだ」と語っている。しかし記事では、型にはまらない戦略を採っているとの分析もあった。そうしたレガー氏率いるTモバイルの型破りの戦略も、顧客体験に結び付いていた。

「キャリア」の常識を覆す戦略

米国では、Tモバイルはピンクのテーマカラーを採用しているが、米携帯電話業界におけるピンクは「破壊」の色だ。Tモバイルが2013年以降採ってきた戦略は、「Uncarrier(アンキャリア)」と名付けられている。文字どおり、今までキャリアが行ってきたビジネスや慣習ではない、という意味だ。

アンキャリア施策はすでに10を超える。「料金プランの一本化」「解約手数料(2年縛り)廃止」「端末のリース契約で、年に3回最新の端末に乗り換えられる」「通話・データのローミング無料」「音楽ストリーミング、ビデオストリーミング無料」「Wi-Fiルーター無償配布、Wi-Fi経由での音声通話対応」「データ通信量の翌月繰り越し」「ビジネス回線ユーザーの個人回線割引」などがある。

そして最新の料金プラン「T-Mobile One」では、データ通信量無制限プランの口火を切った。このように、スマートフォンを使ううえでの不満や不便を次々に解消していく存在がTモバイル、というストーリーが完結しつつある。

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