でも、結論から言うと、あなたはこれまでどおりに彼女と接するべきだと思います。もちろん、これまでと同じように愚痴を言い合ったり、会社への批判なんかを言ってみたり、あるいはうわさ話を共有したり、といったことはできなくなるでしょうが、彼女を急に部下として扱っても、きっとうまくいかないと思うのです。彼女もやはり戸惑っているはずだから。正式な関係を前面に出した対応をしたら、余計にぎくしゃくしてしまうかもしれませんよ。
同期の女性を上司に持ったときは…
私の経験がお役に立てばと思い、お話ししたいと思います。実は私は、あなたの立場とは逆の、つまり、同期の女性が上司になったことがあります。20年目くらいであなたの倍も社会人経験を積んだ時期。友人が部長、私が課長、という役割でした。
それまでは、ちょいちょい軽口をたたきあったり、時に飲みに行って励まし合ったりする仲で、悪い関係ではなかったと思います。違う部門にいた時期も長く、「ライバル意識」は持っていなかったのですが、彼女の判断や調整力などを「すごいな」「デキる人だな」と思っていました。それでも、私のほうがポジションが高い時期もあったので、この人事には、正直、「まじか、抜かされちゃったなぁ」と衝撃を受けましたよ。でも悔しいとか腹立たしいというより、「彼女もやりにくいだろうな」といった感覚のほうが強かったかもしれません。
それに、私のついていたポジションに彼女がついた、とか、私が降格された、とかいうような私にとっての実害があっての人事ではなくて、彼女が抜擢されたのだととらえられたし、先にも書いたように、もともと「すごい人だ」と思っていたので、ネガティブな気持ちにはなりませんでした。ただ、「やりにくいだろうな」と思い、「私はどんな対応をすべきかな」と考えただけ。もしかしたら、あなたの同期もそう思っているかもしれないですね。
私の場合は、人事発表後に彼女からすぐに携帯電話に連絡がありました。私が戸惑いを強く感じる前に。そして、彼女は「うれしい! 堂薗と仕事ができるなんて」と弾んだ声で言ったのです。正直、「どんな風に話すのが正解だろう」と思いながら電話に出たので面食らいました。
さらに「時間もらえる?」と聞かれて彼女のデスクに行ってみると、彼女はさっと立ち上がってハグしてきました。「めちゃくちゃ頼りにしているよ! 助けてね、私、経験足りないからさ」「もう相談したいことがいっぱいあるの。明日、ランチに行かない?」と彼女は本当にうれしそうに言ってくれて。私は、どれだけ肩の力が抜けて楽になったかわかりません。それに、上司と部下、という前に仕事仲間として歓迎してくれている、私の力を認めてくれている、と思ったら、私も彼女の役に立ちたい、と強く思えたのをよく覚えています。
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