稲穂:著作者人格権は、著作者本人の「個性」にかかわるものなので、経済的な権利である財産権としての著作権とは異なり、他人に譲渡することはできません。
木本:芸人が舞台でやるモノマネとかはどうなるんですか。
アイデアは盗まれても仕方ないもの?
稲穂:著作権の観点で考えると、何をまねるのかという点に注意しなければいけません。歌をそのまま歌ったり少し変えて歌ったりすると、作詞者や作曲者の著作権の侵害となります。さらに、独創的な振り付けも著作物となるので、勝手に振り付けを踊ると、振付師の権利も侵害することになります。
ですが、歌手に無断でその実演を模倣してもその歌手の著作隣接権は侵害しませんし、歌手本人の顔まねとか、そのしぐさをまねた場合に至っては、そもそも著作権は関係ありません。もちろん、その人の名誉を傷つけるようなことをすれば名誉毀損になりうるでしょう。
木本:アイドルの振り付けが著作物となる場合、その権利は振り付けを考えた人にあるんですね。ギャグの場合はどうですか。創作、芸術だと思うのですが、著作権はないのですか。
稲穂:第1回でお話ししたように、ものすごく短いフレーズには権利は発生しませんが、コントのシナリオは著作物になりうるので、それを同じように再現すると著作権侵害となる可能性はあります。ただし、アイデアが一緒であっても、せりふ・言い回しやコントの人物設定など、表現として現れている部分が全然違っていれば問題はありません。
木本:えー、アイデアこそが大事じゃないんですか。
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