アルゼンチン流のサッカーが「世界的」なワケ 「超一流」選手、監督を輩出し続ける国の流儀
高さ20mを超えるゴール裏の金網をつかむサポーターたち。一つひとつのプレーに対して、叱咤激励を浴びせてスタジアムを揺らす。ひいきチームに対するきわどい判定に対しては、観客席からゴミが容赦なく投げ込まれる――。
アルゼンチンのスタジアムを訪れると、まるで中世の闘技場にタイムスリップしたかのような錯覚に陥る。フットボールは娯楽でありながら、人生の一部でもある。そんなメッセージを、アルゼンチンという国の住人たちはつねに発し続けている。
FIFAランキング上位に君臨するサッカー強豪国の代表格、それがアルゼンチンだ。4月に発表された最新ランキングでは、最大のライバルであるブラジルに抜かれて2位になったが、3月まではなんと12カ月連続で1位をキープしていた。
日本サッカーは、アルゼンチンから何を学ぶべきか
世界ナンバーワンプレイヤーとの呼び声高いリオネル・メッシ(バルセロナ〈スペインリーグ〉)を出場停止やケガで欠き、代表チームはロシアワールドカップ予選で苦戦しているが、それでも世界でも有数の圧倒的なタレントぞろいであることは間違いない。セルヒオ・アグエロ(マンチェスター・シティ〈イングランド・プレミアリーグ〉)にゴンサロ・イグアイン(ユベントス〈イタリア・セリエA〉)、アンヘル・ディ・マリア(パリ・サンジェルマン〈フランスリーグ〉)……。欧州主要リーグの強豪クラブで才能を輝かせるタレントの名を次々に上げることができる。
過去の歴史を振り返っても、アルゼンチンはブラジルやその他の南米諸国と同様に世界で有数の選手の"輸出国"であった。
しかし、他の南米諸国と大きく異なるのが、アルゼンチン出身の選手だけでなく、指導者も欧州の舞台で圧倒的な成績を残し始めているということだ。
なぜ、アルゼンチンはすごいのか。そして、日本サッカーは、そこから何を学ぶべきなのか。現地を知る指導者や選手たちの話から探ってみた。
そうした監督たちの顔触れを見ると「豪華」の一言に尽きる。まずは、スペインリーグのアトレティコ・マドリードを再び強豪に押し上げたディエゴ・シメオネ。そして同リーグに現在、旋風を起こしているセビージャのホルへ・サンパオリにイングランド・プレミアリーグで安定した成績を残すトットナムのマウリシオ・ポチェッティーノなどが名将の名をほしいままにし、サッカー界で大きな存在となっている。
アルゼンチン人の監督たちの勢いは、各国のナショナルチームにも及んでいる。南米No.1を決める昨年の「コパ・アメリカ」では、ベスト8に残った監督のうち、コロンビア代表のホセ・ペケルマン、チリ代表のフアン・アントニオ・ピッツィら、なんと5名をアルゼンチン出身者が占めた。
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