「テロ」と「偽情報」、メディアは課題が山積だ

フェイクニュースが世界を騙している

発行部数は20万部半ば、読者数は決して多くないものの、そのクオリティの高さから「フランスの顔」ともいえる日刊紙『ルモンド』。今年2月から、「LES DÉCODEURS(解読者たち)」と呼ばれるサービスを立ち上げた。このサービスは、情報自体を「本当か、嘘か」判別するものではなく、その情報を掲載しているサイトが「信頼できるものかどうか」を判別するものだ。

運営するのは、記者やプログラマーなど13人。知りたい情報が掲載されたサイトのURLを「LES DÉCODEURS」内の検索サイトに打ち込むと、信頼性の度合いが色分けされて表示される。「偽ニュースのサイト」なら赤、「ジャーナリズムの手続きに従ったサイト」なら緑、といった具合だ。すでにフランス語や英語などおよそ600サイトの判別が終了した。

このチームで働くサミュエル・ローラン記者は、判別の基準はサイト上の情報が何のソース(情報源)を元に書かれているのかという点だ、と話す。捜査当局の情報に基づくものなのか、あるいは政治家の発言を引用したものなら、それはいつ、どこで、どのように語られたものなのか──情報の細部にわたって「裏(ウラ)を取る」ことが大切な判別要素だ、と言う。

当然、「偽ニュースサイト」と判断された側からは、「なぜ偽ニュースと決めつけられるのか」「何の権限があるのか」といったきついクレームが会社に届く。しかし、これらのクレームに対して「その判断を変えることはない」と、ローラン記者は断言する。

偽情報であってもニュースになってしまう

同記者は、ニュースを読む側の変化も偽情報が氾濫する理由の1つと指摘する。「市民たちの最近のニュースの読み方は『受け身』から、『探す』『検索する』に変化している。しかし、市民たちは情報源が何なのか、というニュースの基本すら知らないし、気にしない人が増えている。いったん『事実』と思い込んだら、偽情報であっても、それは市民にとってニュースになってしまう」。

ルモンド紙に対し、読者から「調査して、判別してほしい」と要請されているサイトは、すでに5000件以上に上っている。

ローラン記者によると、フランス国内で、ラジオや新聞、テレビなど既存メディアへの信頼度は30%程度にとどまっているという。フランスでは、既存メディア=権力側というイメージが強く、政治関連のニュースでは、読者から「これはエリゼ宮(大統領府)から書かされたものではないのか」「大統領からどんな指示があって、この記事を書いたのか」などの問い合わせがあることも少なくない。

次ページ目的は「偽情報の拡散を防ぐこと」
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