アベノミクスという言葉は、もう飽きた 上がるイメージが誰にも浮かばなくなった、日本株の今後

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冷静に理屈で株を買いたい人にはチャンス

そこへ、米国株の調整が起これば、日本株は下に触れやすくなる可能性が高い。そして、このシナリオを多くの投資家が予想しているだけに、今買い上げて行く気にならない。だから、動きが小さくなってくる。盛り上がりに欠けるのだ。

相場エネルギーが落ちたのだ。

これが株式市場においては致命的だ。株は勢いと気合、債券は理屈、為替はその両方、というのが本質だから、株式市場でいったんエネルギーが落ちてしまうと、理屈はどうであれ、大きく上がっていくシナリオは描けなくなっていく。これが日本の株式の現状だ。

今後は、様々なニュースが出ても、株式の動きは限定的だろう。さらに、株価が大きく動く瞬間があっても、それが大きなインパクトを金融市場全体、世界市場に与えることは徐々になくなっていくだろう。しかし、逆に言うと、だからこそ、冷静に理屈で株を買いたい人にとってはチャンスなのだ。

株式市場は、過去半年とは別世界に入ったのだ。

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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