いよいよトランプ政権がヤバくなってきた

「オバマケア代替法案」採決延期で見えたもの

こちらで会ったさる弁護士は、「下院議員は2年ごとに選挙だからねえ。あいつらを説得することは簡単じゃないんだよなあ」とあきらめ気味であった。かといって、フリーダム議連の言い分を受け入れると、今度は党内穏健派の議員が離れていくことになる。この調子で行くと、上下両院で多数を握っていても、共和党政権にできることは少ないと言わざるを得ない。連邦議会は魑魅魍魎の世界なのである。

もちろん撤廃には多くの人たちが反対している。たまたま話題のトランプインターナショナルホテルで3時のお茶をしようと洒落こんだら、ホテル前には「オバマケア撤廃反対」の集会が行われていた。平和的なグループだったが、ここを出発したデモ隊が議会に向けて行進するのであろう。文字通り政治決戦の一日ということにある。

さあ、法案は可決か、否決か、修正か――と思ったところ、ライアン下院議長は票読みが足りないと見て、採決の延期を選択したようだ。これは現地ジャーナリストの読み通りの展開。問題はこの失点が、トランプ大統領に向けられるのか、それともライアン議長や議会共和党に向けられるのか。

この事態を受けて、NYダウ株価は6日連続の下落。オバマケアの代替法案さえ通せないのであれば、この後に続く税制改正やインフラ投資、あるいは金融規制の緩和なども目算が立たないことになる。これまで「トランプ政権による財政支出」を織り込んで、昨年11月から買い上がってきた市場としては、深く失望せざるを得ない。為替市場でも円高ドル安へのバックラッシュが起きている。

議会工作ができない政権に「来るべきものが来た」

しかるにこの事態、いよいよ「来るべきものが来た」という気もする。前回も書いた通り、株式市場はトランプ政権を楽観し、債券市場は悲観してきた。両方が正しいということはあり得ない。そして後者の側に立てば、共和党内はもともと「学級崩壊」状態であり、これにトランプ大統領の乱暴な政局運営も重なって、簡単には一枚岩になれないことは自明であった。

政治というものは、つまるところが妥協の技術である。法案をまとめるには、ベテランの知恵がいる。ところが現状を否定する民意がヒステリックに暴走して、トランプ政権という異常な政権を作ってしまった。トランプ大統領が「素のまま」では議会工作が進まない。逆に「手練手管」を弄すると支持者に背かれてしまう。

法案採決は24日に延期されたが、深夜に至っても議会内では説得工作が続けられている模様である。が、当「市場深読み劇場」としては、「やっぱり無理っぽいんじゃないの」ということを、とりあえず今週の結論としたい。

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