トランプ相場の持続性はあるのか?
筆者は米国大統領選挙直前のコラム「米大統領選後は再び円安ドル高の流れになる」(2016年11月7日)で、大統領選挙後に円安ドル高が始まると述べた。トランプ氏の勝利はやや予想外だったが、その後の円安・株高はほぼ想定どおりの動きと冷静に見ている。
ただ、これほど大幅ではなかったとしても、仮にクリントン大統領になっていた場合でも、筆者は円安ドル高となっていたと考えている。
2016年央に多くのコメンテーターが述べていた、1ドル100円割れの円高リスクの根拠が薄いと見ていたため、その修正が起きるのは必然だった、というだけのことだろう。
さて、トランプ新政権が発足する2017年の日本の金融市場はどうなるか。トランプ相場で動いた、円安株高はいつまで続くのか?この点については同12月5日コラム「『円安ドル高』はいつまでどこまで続くのか」でも述べたが、トランプ相場は、米国における政策転換が引き起こしている円安ドル高の大きな流れと筆者は位置づけている。
2012年末以降、大幅な円安ドル高は2度起きている。1度目はアベノミクス発動による日銀の「2%インフレ目標設定」「日銀執行部の体制変換」「量的質的金融緩和(QQE)導入」。そして2度目は2014年末の日銀のQQE2発動とFRB(米連邦準備理事会)の量的金融緩和縮小が原因であり、いずれも政策転換が引き起こしたものだ。
トランプ政権誕生による拡張的な財政政策の発動も、やはり大きな政策転換であり、過去2回と同様のことが起こるという見立てである。クリントン政権が誕生していた場合は、政策転換は起こらなかっただろうから、小幅な円安ドル高にとどまっただろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら