では利上げ回数とドル円の関係はどうか。年間に2回程度の利上げであれば、ドル高は大きく進まないだろう。2015年半ばにつけたドル高の高値である1ドル125円が円安の目安になるだろう。筆者が想定するように、もしFRBが3回以上の利上げを行えば、さらなるドル高円安をもたらし1ドル130円前後まで円安が進むと予想する。
日本株についてはどうか。日本が2%のインフレを安定的に実現して、完全にデフレから脱却するまで、ドル円相場と日本株市場の連動性が高い場面は続くだろう。このため、2017年に、日本株がどの程度上昇するかは、円安がどの程度進むかに依存する。
すでに、日本経済は2015年末を大底に緩やかながら回復に転じている。米国経済の復調と中国経済の安定、そして円高に歯止めがかかったこともあり2016年央から企業業績は回復に転じている。
今後1ドル120円台まで円安が進む過程で、2017年度の日本企業の利益は2ケタ以上の増益に上振れるだろう。それを織り込む格好で、株高が続くとみられ、日経平均で2万円の大台を早晩回復すると予想する。そしてドル円と同様の2015年のピークであった高値2万0952円は、2017年内に超える可能性が高い。筆者が予想するように、FRBの利上げが3回となれば、日本株の上振れ余地はさらに高まるだろう。
リスクは欧州よりも、FRBの後任議長を巡る思惑
リスク要因は何か。2016年のような政治リスクという点では、イタリア、オランダ、フランスなどの政治動向が真っ先に思いつく。ただ、Brexitと比べれば、これらの政治動向が大きなリスクに発展する余地は限られるので、金融市場の混乱をもたらす可能性は高くないと筆者は考えている。それよりも、トランプ次期政権の経済政策とそれに対する市場の思惑が、市場の動揺をもたらす可能性があるだろう。
筆者が最も警戒しているのが、2018年2月に任期を終えるイエレン議長の後任人事である。トランプ政権の主要メンバーが、FRBに対してどのように考え、人選を行って行くか、現状では全く分からない。不確実な要素が多いということは、2017年に入り、様々な思惑から観測報道が報じられ易いことを意味する。実現するかはともかく、利上げに徹底した慎重姿勢を徹底したイエレン議長と全く異なる考えの議長が就任するとの思惑が、リスク資産売りを引き起こす可能性がある。
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