いよいよ日米で現実味帯びる「財政拡大政策」 トランプ次期政権が日本の「呼び水」になる

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日米で「ヘリマネ政策」がいよいよ始まるのかもしれない(写真:Caito/PIXTA)

トランプ次期政権が日本の「ヘリマネ政策」先導へ?

年初の2017年の相場展望として前回のコラム「2017年は1ドル130円まで円安が進む可能性」では、FRB(米連邦準備理事会)による3回の利上げが想定できるとの筆者の見通しを述べた。理由は、トランプ次期政権による財政政策の転換によって成長が従来の見通しよりも上振れ、FRBの利上げやドル高円安のペースに影響を与えそうだからだ。

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2017年は米国次第の金融市場となるとみられる。だが、実際に減税政策などの中身が判明するのは、3月か4月頃と想定される。それまでは、方向感に乏しい状況が続くかもしれない。

ドル円・日本株の方向性は、米経済政策のレジームチェンジ(枠組みの転換)が実現するかどうか次第である。具体的には米国の財政政策が拡張方向に転じるかどうかということだ。そして、米国における財政政策転換は、日本を含め各国の財政政策判断にも影響をもたらす可能性がある点にも筆者は注目している。

日本では、安倍首相が2016年半ばのG7の場で各国に財政拡大の必要性を訴え、そして国内では消費増税見送りと補正予算策定が決まった。この議論の最中の夏場には、いわゆるヘリコプターマネー(ヘリマネ)策採用との期待から、為替市場では円安が起きた。ただ、この時は、追加財政政策に伴うGDP(国内総生産)成長率を押し上げる規模が限定的だったため、追加財政が正式に決定されると、再び円高に戻ってしまった。

日本でヘリマネ政策にがぜん注目が集まったのは2016年半ばだったが、2015年の時点から、先進国のどこで拡張財政あるいはヘリマネ政策に踏み出すかどうかが、筆者が議論する外国人投資家との間でもっとも大きなテーマになっていた。この点で2016年は日本が、中途半端ながらもやや一歩先を行っていた。しかし、トランプ次期政権誕生による拡張的な財政政策への転換で、2016年末から米国が先導役になった格好である。

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