こうした中で、「大学生」以外の新卒を求め、高校生の採用への注目度があがってきています。
これは近年あまりなかった動きです。かつて大学生の求人倍率が高いときも、高校生の求人倍率は高くならない、そんな時代もありました。
2000年代前半、バブル崩壊から企業が立ち直りをみせて、大学生の採用においては求人倍率が徐々に回復。リーマンショック前には学生の売り手市場にまでなっていました。ところが、その時期に高校生の求人倍率は0.5倍前後と、求人が足りないため就職難が続いていたのです。こうした背景から高卒で就職せず、大学に進学する高校生が増えて、少子化にもかかわらず大学生が増加する現象へとつながっていったのでしょう。
高校生の採用は増加傾向
一方、直近でも約18万5000人の高校生が就職活動をしています。そうした高校生を積極的に採用しようとする求人が、最近、急激に増えてきているのです。
厚生労働省の発表によると今年2017年3月に卒業する高校生の求人は、全国平均で前年同期比0.21ポイント上昇の1.75倍となり、1994年卒以来23年ぶりの高水準と言われています。求人を業種別にみると建設業や製造業、卸売・小売業などが大幅に増加しています。
こうした状況と平行して、実際に「絶対に大卒とこだわるのではなく、高卒を4年間かけて育てるという手もあるのでは」との意見をよく耳にするようになりました。
働くということに基本的には年齢は関係ありません。大卒者には大学受験を通過しただけの忍耐力や集中力などはあるかもしれませんが、かといって、大学に入って仕事の実務を学ぶことはさほどありません。大学生も高校生も、基本的には実際に正社員として就労した経験がないとなると、仕事の実務的には差はなく、やる気次第、ということも多いと思います。高校生を積極的に採用する企業の人事部からは、4年かけて人材育成する覚悟さえあれば、社会に出て必死に働くという姿勢が大学生よりも強い人も多いという声も聞きました。
ちなみに筆者が勤務していたリクルート社では、入社当時は積極的に高卒採用をしていました。ということは大卒で入社したタイミングに、社会人経験4年目の同世代がいたのです。この同世代は大卒の新入社員を大きく刺激していました。4年間も経験を積んでいるので、当然といえば当然です。
もちろん、時代背景が違います。大卒採用が多くなった今の時代、高校生を採用しよう……となると、それはそれで、大卒とは違う採用プロセスを取ることになり、手間がかかります。たとえば、ハローワークなどでは、活動開始日が厳格に定まっています。あるいは求人活動を行うときには、各労働局等が実施する学卒求人説明への参加が求められます。しかし、手間を惜しんで高校生採用の可能性を見送るべきか。一度企業は検討してみるタイミングではないでしょうか。
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