クックパッド総会で株主が突き付けた「不信」 お家騒動で株主置き去り、株価は1年で半値に

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「去年のようなことは2度と起こさないでほしい」「去年のことを思い出すと腹が立ってならない」「ああいうことがあると3年くらいでダメになるのでは」――。株主から出たこれらの指摘は、ちょうど1年前の3月24日、株主総会終了後の夜に突如、穐田氏の社長退任が発表されたことを追及するものだ。

クックパッドの創業者で筆頭株主の佐野陽光氏(2010年に引地信彦撮影)

創業者・佐野陽光氏と当時社長だった穐田氏の経営方針をめぐる対立が表面化したのは、2015年秋。翌2016年の1月には、筆頭株主(約44%を保有)の佐野氏が自身を除く全取締役の刷新を求める株主提案の実施を表明した。

クックパッドは2月、佐野氏の提案を一部取り入れた取締役選任案で合意したと発表、一応の和解があったと見られた。だが、3月24日の夜、新社長への就任が発表されたのは、マッキンゼー出身の岩田林平氏だった。これに市場はネガティブに反応し、翌日、クックパッドの株価は前日比で13%も急落した。

一連の騒動についての株主の意見に、岩田社長は「改めてお詫びしたい」とし、現経営体制で国内外のレシピ・料理関連ビジネスに邁進していく旨を語っている。

「今後10年間は投資フェーズ」

クックパッドの直近の通期決算(2016年12月期、国際会計基準)は、売上高168億円と26%の増収となったが、営業利益は21%減の50億円に落ち込んだ。最大の収益源であるレシピサイトの有料会員数は拡大した一方、海外事業の組織改編などに伴う減損35億円が発生し、営業利益が削られてしまった。

2017年12月期はどうか。一時的な減益要因となった減損は大幅に縮小する見込みだが、これまでのような力強い利益成長が実現するとは考えづらい。会員事業に次ぐ収益柱である広告事業では、ユーザーの利便性を高めるため配信枠を削減することで収益の伸びは抑制されそうだ。人員についても、本社社員約200人(海外込みで約250人)のところ、エンジニアやデザイナーの採用を年間200人程度まで加速することも計画。実際にそれだけ採用できるかは不確かだが、人件費や採用関連費は膨らむだろう。

同社はまた、今後レシピ・料理関連の事業を集中的に育成するために、穐田前社長の敷いた多角化路線からも転換を進めている。昨年1年間で、キッチン小物通販の「セレクチュア―」や、休日おでかけ情報サイト運営の「ホリデー」など、子会社・グループ会社14社を売却。今期は2015年にグループ化した結婚式場口コミサイト運営「みんなのウエディング」の株式を3月に売却している。

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