クックパッド総会で株主が突き付けた「不信」 お家騒動で株主置き去り、株価は1年で半値に
過渡期にあることを強調するためか、同社の決算説明資料には、「短期・中期の利益や市場の反応よりも長期での市場創り、それぞれの市場での圧倒的ナンバーワンのポジション作りを優先」「柔軟な意思決定を行っていくため 将来のコミットメントにしばられる経営は目指さない」という旨が明記されている。
総会で出た「中期・長期の経営計画は作らないのか」という質問に対しても、「今後10年間は投資フェーズ」(岩田社長)と話したうえで、世界各国のレシピサービスが当社に注目しているため、戦略をオープンにするのは得策でない点、また競合が動画サービスやインスタグラムなどのSNSにも広がっており、戦略は随時見直していく必要がある点を強調した。
不安は解消しないまま
岩田社長の経営能力について、「穐田さんと比較し、どう自己評価するか」と問う声も上がった。岩田社長は、「この時点で評価することは控えたい。(穐田氏と自分では)求められているものが違う。料理分野に特化して世界展開していくには、自身が適任だと思っている」と答えている。
岩田社長の説明には納得できる部分もある。だが、少なからぬ株主に“不満顔”が浮かんでいたのも事実だ。
今回初めて同社の総会に参加したという女性株主は、「何が起こっているのか、これからどうなるのか、質問に対する答えで不安が解消したとは言えない。このまま株を持っていていいのか、もう一度ゆっくり考えたい」と話し、いつもはすぐに捨ててしまうという事業報告書を大事そうにしまっていた。
終始緊迫感が漂ったクックパッドの株主総会。株主に対し、明瞭な成長戦略を示せたとは言いがたい。失った信頼を回復するのにはまだ時間が掛かりそうだ。
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