VR・ARの先にある「混合現実(MR)」とは何か? ビジネス利用で進化する仮想現実・拡張現実

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2016年2月、筆者はハリウッドにいた。VRとARの専門家が一堂に集まる会議に出席するためだ。研究報告や最新の技術動向の紹介、製品展示などの中でも、ひときわ印象的だったのがNASAのジェット推進研究所のデモンストレーションであった。

デモビデオには、当時はまだ発売前だったソニーのプレステVRやOculus Rift、マイクロソフトのHoloLensといった最新のデバイスが登場した。NASAは、デバイスメーカーと協力し、これらの市場投入前の製品を活用し、宇宙開発に必要なアプリケーションを開発していたのである。

たとえば、VRゴーグルを装着することで、あたかも火星の上にいるかのように周囲を眺めまわすことができる「Mars 2030 Experience」。これは、火星探査車「キュリオシティ」から送られてきた火星表面の写真をもとに、360度の映像を作成したものだ。

また、宇宙ステーションの作業支援ロボット「Robonaut 2」の操作訓練を行う「Mighty Morphenaut」は、プレステVRを利用したシミュレーターである。VRにより、遠隔地にいるロボットの視線を自分が見ているかのように共有し、自分の両腕に持ったコントローラーを動かすとロボットのアームも人間と同じように動く。

わずか1年ほど前の出来事ではあるが、当時はまだSFの世界を見るように感じた。しかし、ここで使用されていたプレステVRやOculus Riftは、このNASAのデモからわずか数カ月で、われわれ一般人でも手に入れることができるようになった。

そして、NASAが見せてくれた“従来ではありえなかったものの見方・体験を可能にする”VR・ARによるアプリケーションは、すでにわれわれの生活やビジネスの一部に入り込んでいる。

かつて、SFの世界で想定されてきたことが、現実となり始めているのだ。

ニュース報道や教育、研修に生かせるVR・AR

VR技術は、日本ではプレステVRの登場によって、広く一般に浸透した。このため、ゲームやエンターテインメント向けのデバイスととらえられることも多い。しかし、前述のNASAのアプリケーションのように、ゲーム以外の用途でも利用が始まっている。

たとえば、米The New York Times紙は、スマートフォンをセットしてVRコンテンツを楽しめるダンボール製のVRゴーグル「Google Cardboard」を同紙の購読者30万人に無償配布し、360度のビデオ配信「NYT VR」を行っている。ニュースやドキュメンタリーをあたかもその場にいるかのように読者に体験してもらうことで、メディアは現地の雰囲気を臨場感とともに伝えることができる。

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