DeNA、第3者委報告書が明かした「構造問題」 「永久ベンチャー」の免罪符はもう通用しない

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さらに、2016年11月10日時点の画像を調査したところ、472万件中、複製権侵害の可能性がある画像は74万件に上ると指摘された。

WELQについては薬機法等の違反についても調査がされた。外部報道で取り上げられた19記事を調査したところ、薬機法で8本、医療法で1本、健康増進法で1本の違反の可能性があるとされた。

その上で重要となるのが責任の所在だ。この点について争点となっていたのが、キュレーションメディアは「メディア」なのか「プラットフォーム」なのかという点だ。

これまで、DeNA側は外部の人間も投稿できることからプラットフォームと主張してきた。その場合、プロバイダ責任制限法に基づく免責を受けられる。だが、10サイト中8サイトにおける一般ユーザー投稿記事の割合は5%以下。各編集部がクラウドソーシングを通して発注することで、ほとんどの記事が作成されていた。

調査委員会ではプラットフォームではなくメディアであり、投稿記事に責任を持つと結論づけている。

マニュアルは禁じても、実態はコピペの推奨

第三者委員会は海外法律事務所や大手企業の法務部長職を渡り歩いた名取勝也委員長を筆頭に4人で構成されている(撮影:尾形文繁)

さらに、昨年12月にはWELQのマニュアルにて剽窃を指示すると捉えかねられない記述があることが報道されていた。

調査委員会では「DeNA側が著作権侵害の指示をしたのか」という点も検討している。

マニュアルの書きぶりはメディアごとに違うものの、他サイトの文章をそのまま記載する「コピペ」行為を禁止する文言がある。

しかし、実際に記事を書いたライターへのアンケートを実施したところ、回答者の3分の1が「コピペ禁止と言いながら実態としてはコピペを推奨していると感じた」と答えている。その理由として回答者は、他サイトを参考にするよう指示されたから、コピペを多用しないと届かないだけの執筆本数を目標設定されていたから、と証言している。

こうした法的問題については、キュレーションメディア参入当初から指摘はされていた。iemoやペロリを買収した時点で著作権を侵害しているリスクがあると報告されており、買収時には両社がそれを解消する措置を講じることを買収の条件としていた。

しかし、買収後は守安功CEOをはじめとしたDeNA経営陣の目線はキュレーションメディアをいかに拡大させるかという点に着目し、取締役会などでも法的リスクが十分に議論されることはなかった。

2015年2月に旅行メディアのFind Travelを買収した後に、独自方針を採るMERYを除くメディアにおいて、記事をとにかく大量生産する方針にするか、記事一本あたりの質を重視する方針にするかが議論された。しかし、同年夏頃から大量生産方針に傾き、質よりも量を重視するようになった。

また、守安氏の意向の下、グーグルによる検索結果で上位に来るよう最適化するSEOへの偏重も強くなっていった。現場ではそうした体制を是正する動きも何度か起きていたことも報告されているが、この流れを止めることはできなかったようだ。

次ページガチャに続き、2度目の不祥事
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