BMW「新型5シリーズ」が示す歴史的転換点 「物理的な原理しか信じなかった」車の変質

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「安全に運転しながら時間内に目的地に到着することと、運転中の時間を効率よく使えることこそビジネス・セダンに求められているものと考え、新型5シリーズでは新技術を積極的に採用しています」と、ドライバー・アシスタンス・システムを担当したプロダクト・マネージャーのオリファー・ポグントケは、まさに“積極的”に微に入り細をうがつように説明してくれた。

スマホさながらに個々のプロバイダーとの契約を要するアプリも少なからずリストアップされていた。新型5シリーズはコンピューターのプラットフォーム(ソフトウェアが動作するための基盤)でもあるのだ。

従来のクルマづくりはここが頂点になるかも…

昨今のニュースを見ると、自動車メーカーとソフトウェアメーカーとの提携の話題が多い。BMWも例外でないということだ。7世代目の5シリーズは、運転する楽しみという原初的な価値と、最新の自動運転技術を併存させた、歴史的なターニングポイントに立つ記念碑的存在となった。メーカー内ではパワートレインの電気化も進んでいるだけに、ひょっとしたら従来のクルマづくりはここが頂点で、そして終着点になるかもしれない。7世代目の5シリーズに触れた僕の感想である。

かつてトヨタ自動車がプリウスを発売した頃は、“(電気や電子なんかより)テコや歯車など物理的な原理しか信じない”と言っていたのがドイツのクルマ・メーカーだったが、いよいよ変質した観がある。なにか劇的に変わりそうだ。

ユーロ安を仕掛け、輸出で儲けているドイツとしては、旧来からの硬質なモノづくりにかける信念も大事だが、グローバル市場の趨勢に棹差す商品も必要だ。新型5シリーズにおけるプリミティブ・ドライブ・フィールとディジタル・テクノロジーの総合は、そうした要請にたいする回答である。まさに“今”が詰まったイット・カーなのである。2017年1月12日に日本発売された。

(Words: Fumio Ogawa / Photo: BMW)

小川フミオ
1959年生まれ。ライフスタイルジャーナリスト。慶應義塾大学文学部卒業。自動車とカルチャーを融合させた雑誌『NAVI』に携わる。2002年にはグルメ誌『アリガット』を創刊。2004年よりフリーランスとして活動している。『GQ JAPAN』本誌やウェブをはじめ、新聞社のサイトなどに寄稿中。クルマからグルメまで評論する。
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