BMW「新型5シリーズ」が示す歴史的転換点

「物理的な原理しか信じなかった」車の変質

海岸を見下ろす崖に沿った屈曲路や、味のある昔ふうの白壁の家が並ぶ海岸線を走ると、乗り心地のよさとパワーがうまく両立したこのクルマのよさに感心する。“やっぱり5シリーズが好きなんだなあ”と僕はひとりごちるのであった。

「駆けぬける歓び」をスローガンとするBMWだけあって、力のたっぷりあるパワー・ユニットと軽快なハンドリングを組み合わせているのが特徴だ。いっぽうで、「もっとも成功したビジネス・セダンの地位を確保することを目指す」とBMW AG(本社)の開発担当役員であるクラウス・フレーリヒは述べる。そのために「ドライバー・アシスタンスとネットワーク化を究極まで推し進める」のだそうだ。

実際、ほんとうに興味深かったのだけれど、こういった試乗会では、エンジンや変速機、サスペンションなどの技術スペシャリストが集まるのが通例だ。ところが、今回の試乗会の拠点となったリスボン郊外のゴルフリゾートにミュンヘン本社から集まったのは、安全技術と通信技術の専門家ばかりだった。

テック系最新技術を積極的に採用

それというのも、新型5シリーズは、自動運転やコネクティビティなどのテック系最新技術を積極的に採用しているからだ。レーダーセンサーにより前車はもちろん、さらにその1台前を走る車両の動きも検知しながら最適な加減速を行う「アクティブ・クルーズ・コントロール」や、突然出現した障害物との衝突を避けるためのステアリング操作への介入、さらには側方から飛び出してきたクルマとの衝突を回避する装置など、さまざまな形でドライバーの運転をアシストする。スマートフォンと連動したコネクティビティ・システムも充実している。たとえばスケジュール管理のアプリと連動してスマートフォンが渋滞などを考慮に入れた最適な出発時間を知らせてくれるなどというものがあり、新型5シリーズに乗りこむやいなやナビゲーションがすでにスタートしているというぐあいだ。ドイツではBMW車はクラウドのネットワークで結ばれるのだが、ある車両が道路上で事故や渋滞に遭った場合、そのデータが後続のBMW車に送られて、迂回路などが提案される、などなど。

いっぽう、新型7シリーズで採用された「ジェスチャーコントロール」はさらに機能を強化した。たとえば、コントロール・ディスプレイに向かって人差し指で小さな円を描くだけで音量調節ができるというように、3Dセンサーが指先のジェスチャーを認識して、電話を受けたり、かけ直しのメッセージに応答したりする。

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