「超・人手不足」の物流業界を救う3つの大革新 「デジタル・ロジスティクス」が物流を変える

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ネット通販大手のアマゾンでは、注文から1時間以内に配送する有料会員向けサービス「Prime Now」の商品配送を一般の人に委託する「Amazon Flex」という配送プログラムを2015年9月から米国で、英国でも2016年7月から行っている。

Amazon Flexに登録した人(一般人)は、専用のスマートフォンアプリを通じて、作業日時の登録や、配達先へのナビゲーション、荷物のバーコードスキャンなどを行うことができる。現在Amazon Flexは全米の30都市以上、英国では18都市で展開されている。

Amazon Flexは、短時間で荷物を届けるための物流リソースを、荷主側で自ら調達するユニークな取り組みといえる。もともとアマゾンはロジスティクスの自前化に積極的だ。2016年8月に自社専用の貨物航空機「Amazon One」をローンチしたほか、最近では、中国と米国間の海運事業にも参入している。さらには、前述の物流版Uberのようなトラック輸送の仲介サービスを開始するといううわさもある。

ただ、そのアマゾンでさえも、今のところすべての物流を自前で行っているわけではない。限界を迎えつつある従来の物流サービスだけに依存せず、適材適所でシェアリング・エコノミー型サービスを活用することで、短時間配送という他社との差別化を継続・強化する取り組みは、これからも増えていくだろう。

自動運転による輸送の無人化

ロジスティクスの各工程をつなぐ「物流」は、輸送、荷役、保管、包装、流通加工、情報管理の6つの機能で構成される。その中でも特に、輸送にかかるコストの比率が大きく、日本では、物流コストの6割弱を輸送コストが占めている。この輸送コストの削減やスピード向上を図るために注目されているのがドローン、そしてデリバリーロボット、トラック隊列走行などの輸送の無人化技術である。

(1)ドローン(無人小型機)が日本でも実用化へ

ドローンによる荷物の配送は、2013年にアマゾンが発表した「Prime Air」構想が契機となり、グーグル、DHL、米国セブン-イレブン、楽天などのさまざまな企業でトライアルが始まっている。

一方、ドローンに対する期待が高まる半面、衝突回避技術、運航管理システムの整備、商用利用に関する法規制の整備などの課題も残されている。日本においては、2018年ごろをメドに離島や山間部で、2020年代以降をメドに都市を含む地域でドローンを用いた荷物配送の実現を目指すロードマップが取りまとめられている。

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