「超・人手不足」の物流業界を救う3つの大革新

「デジタル・ロジスティクス」が物流を変える

(2)デリバリーロボットが街中で宅配する?

空からの輸送ではなく、地上を自動で走るデリバリーロボットの活用も検討されている。

米国のスタートアップ企業であるStarship Technologiesは、オペレーターがカメラをとおして監視可能な自動配達ロボットを開発している。同社は、2016年7月から英国やドイツの宅配サービス企業と提携し、英国(ロンドン)、ドイツ(デュッセルドルフ)、スイス(ベルン)などのヨーロッパの5都市及び米国(サンフランシスコ、ワシントンD.C.)で、食品などを配送するトライアルを実施している。

同社によると、ロンドンの中心街でオンデマンドの宅配を行う場合、現状では、最大12ポンド程度が必要となる。デリバリーロボットの活用によって、これを1ポンドにまで引き下げることを目標としている。

米国バージニア州では、自動配達ロボットによる配送業務を認める法案が成立し、2017年7月1日から施行されるそうだ。この法案の作成には、Starship Technologiesが協力しており、他にもいくつかの州で同様の法案が審議されているとのことだ。バージニア州でのロボットデリバリーサービスの成否次第では、ネットスーパーやピザの宅配に活躍するデリバリーロボットを米国の街中で見かけるようになる日も、そう遠くないかもしれない。

実現性が高い長距離輸送の無人化

(3)トラックプラトーニング(隊列走行自動運転)

ドローンやデリバリーロボットのようなラストワンマイルの配送を目的としたものではなく、長距離幹線輸送における無人化の検討も行われている。

現在、日本で注目されているのは、ドライバーが運転する先頭のトラックに続いて、無人のトラックが一定間隔で追従する「トラックプラトーニング(隊列走行自動運転)」である。

2017年2月に開催された政府の「未来投資会議」(議長:安倍晋三首相)は、物流業界における深刻なドライバー不足を解消するため、2018年1月から新東名高速道路でトラック隊列走行の実証実験を開始すると表明した。

2020年度に新東名高速道路で後続無人隊列走行の実現、2022年度以降に高速道路(東京―大阪間)で後続無人隊列走行の事業化を目指すとしている。

ドローンやデリバリーロボットは、物流需要の多い都市部では、墜落や衝突事故の危険性や受領ポイントなどのインフラ整備の問題がある。このため、実現までには時間を要するだろう。また、現在の宅配便のインフラを置き換えるほどの輸送力を期待するのは、現実的ではない。当面は、配送料を特別に払ってでも早急に届けてほしいという、オンデマンドの宅配手段の1つとして考えるのが適切であろう。

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