「超・人手不足」の物流業界を救う3つの大革新 「デジタル・ロジスティクス」が物流を変える

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一方、トラック隊列走行は、ドライバーの省人化、渋滞の緩和、後続車両の燃料費削減などの具体的効果が見込みやすい。また、高速道路という限られたエリアが対象になるためインフラ整備もしやすい。このため、他の輸送手段の無人化技術と比較して実現性が高いと考えられる。

2015年から大きなブームとなっている人工知能(AI)や、AI実現に向けたアプローチの1つである機械学習も、物流と無縁ではない。

活用が期待されている分野の1つとして、物流センターや倉庫のピッキングロボットが挙げられる。

米アマゾンは、ロボットが棚に置かれた食品や衣類などのモノを指定時間以内に取り出し、箱に詰める技術を競うコンテスト「Amazon Picking Challenge」を2015年から開催している。

2016年のコンテストでは、上位入賞チームの多くが、ピッキングするモノの認識やアームの差し込み方などに、機械学習手法の1つであるディープラーニング(深層学習)の技術を適用していた。また、ドローンの自律飛行や、車の自動走行時の歩行者や障害物の検出でも、ディープラーニングの技術は活用されている。

物流におけるAI・機械学習の活用は、「認識」だけでなく「予測」や「最適化」の領域にも広がっている。たとえば、新商品の需要予測や、店舗で販売されている商品の欠品予測、必要配車数の予測、シフトスケジュールや配送ルートの最適化、倉庫内の作業指示の最適化などである。

データ収集・蓄積の仕組みが重要

今後、物流を含むロジスティクス領域のデジタル化が進むにつれ、さまざまなデジタルデータが収集・蓄積されるようになる。これまで利活用できなかったデータが、AI・機械学習の適用を通じて分析されることで、物流の省人化や効率化が実現されるようになる。

一般的に、AI・機械学習では、学習データが多いほど認識・予測の精度が向上する。逆にいえば、データが不十分である場合、省人化や効率化の検討にすぐに着手できないおそれもある。

「過去数カ月分のデータはすぐにシステムから取り出すことができる。それ以前のデータもバックアップして保存している」と豪語していた企業が、いざ分析に取り掛かると、「実はバックアップデータは集計データが保存されている。詳細な情報が欠落しているので、改めてデータをため直さなければならなくなった」という話をよく聞く。

ストレージが高価だった時代に構築されたシステムにはよくあるケースだが、このデジタル・ロジスティクスの時代において、AI・機械学習の恩恵を最大限に享受するためには、これではいけない。

読者の皆さんには、まずは自社の物流や販売などのデータを収集・蓄積する仕組みについて、早急に確認することを強くおすすめしたい。

鷺森 崇 野村総合研究所 エキスパートリサーチャー

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さぎもり たかし / Takashi Sagimori

野村総合研究所DX基盤事業本部IT基盤技術戦略室、エキスパートリサーチャー。2001年に野村総合研究所入社。コンサルタントとして、産業・流通分野における先進的なIT技術の調査、SCM/CRMコンサルティング、アナリティクス、新規事業・DX推進活動に従事。専門はデータサイエンス、機械学習プラットフォーム、AIアシスタント技術、RFID、ロケーションテクノロジー、リテール業界のITサービスなど。

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