ミクシィ再生の手綱握る、異色経歴の新社長 新世代リーダー 朝倉祐介 ミクシィ社長

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ミクシィをどう立て直すのか

株式関係者が熱狂した2006年9月の上場からおよそ7年。ミクシィの株価は当時の10分の1に沈み、同じSNSではゲームに舵を切ったディー・エヌ・エー、グリーに引き離された。SNS同士でも、国内会員数は海外勢のフェイスブックやツイッターの後塵を拝している。

このような状況を打破するため、朝倉氏率いる新生ミクシィは、「SNSサービスの『ミクシィ』以外のサービスを作る」ことを目指す。新しいサービスはミクシィブランドを冠さないこともいとわない。重点領域は、市場の成長が著しいスマートフォンアプリだ。2012年度末にたった2本だったアプリの本数を、13年度末に50本にまで引き上げる計画だ。

売り上げ規模が年間100億円強に対し、約50億円もの資金を本体と一体で運用する投資子会社を7月1日に設立。「成長のためにありとあらゆる手段を使う。この投資子会社は非連続的な成長を進めるうえで、最も大きな役割を果たす」と意気込む。

6月下旬の株主総会後、新経営陣が集まったワンショット

自身の社長就任と同時に、経営陣も刷新された。2000年の創業以来社長を務めた笠原健治氏は、代表権のない取締役会長として一歩退いた。一方、朝倉氏を含め新任取締役は3人誕生。そのうちCOOに就く川崎裕一氏は、はてなで副社長を務めた実力者だ。

「スマホアプリの時代は、個人の開発者がヒットサービスを生み出せるというメリットがある。一方で、ミクシィがアプリを運営することで、まだまだ信頼感を持ってもらえるはず。ネットがスマホ中心のパラダイムに移行する中、過去の成功体験を断ち切り、改革を行っていく」

一度輝きを失ってしまった、国産SNS企業の再生を託された朝倉氏。競馬騎手の夢は道半ばにして断たれたが、今度は会社経営というGIレースで、一大勝負へ挑む。

(撮影:梅谷秀司)


 

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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