ここで決して勘違いしてはいけないのは、「価値観を共有する」というのは、単に「気が合う」という意味ではないことだ。必要なのは、同じ目標に向かって、考え方を共有して仕事を進められるかどうか。ヘッドハンティングの現場では、お互いの価値観をすり合わせることは求められてはいない。合うか合わないか。合わなければ、別々の道を歩めばいい。それだけのことだ。
グローバルコミュニケーションの鉄則、「3点セット」とは?
サニルは与田が持論を展開するのを聞いて、その場で与田を迎え入れることを即決した。与田の何がサニルの心をとらえたのだろうか。
与田の議論の仕方はシンプルだ。まず、はっきりとした「主張」がある。そして、それを支える「事実」と「論拠」が示される。「主張」「事実」「論拠」の3点セットはロジカルシンキングの基本であり、どれかひとつでも欠けると、外国人には通じない。
ところが、日本の会社組織は、「すべて言わなくても通じるだろう」という暗黙の了解、あうんの呼吸で仕事が回っていくので、ロジックの組み立てが苦手な人が多い。意見はあっても、事実の裏付けがなかったり、一般的なルールや法則に基づかない例外規定が多すぎたりするので、文化背景の異なる外国人を納得させることができないのだ。
さらに問題なのは、「私はこう思う」「こうしたい」という明確な主張がないケース。意見がない人とは、そもそも議論することができない。だが、そういう日本人が少なくないのが現実だ。
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