米国のトランプ政権がスタートして1カ月が経過しました。本来、新政権のスタート時は、「ハネムーン期間」といって、100日間はメディアも大統領批判をせず、とりあえずは様子を見るのが慣習ですが、今回はまったく様子が異なります。次々に大統領令を出す一方、重要ポスト人事で辞任が相次ぐなど、混乱は隠せません。それでも今のところマーケットは堅調です。今後はどのように動くのでしょうか。投資するうえでの注意点を、草食投資隊の3人が分析します。
「トランプ相場」という認識は間違っている
中野:トランプ大統領が昨年11月の選挙で勝利を収め、実際に大統領に就任するまでの2カ月間、世間では、「まあ、ああいうふうに過激な発言をしているけれども、大統領に就任すれば落ち着くでしょう」と言われていたのに、大方の期待を裏切り、相変わらずの過激発言。大統領令も連発。どうなっちゃうのでしょう。
藤野:もって4年でしょう。実際にはそこまでもつのかどうか。弾劾裁判にかけられて、第1期を終える前に、辞任させられるのではないでしょうか。
渋澤:いろいろな人に話を聞くと、もちろん中には2期8年を全うするという見方をする方もいらっしゃいます。まあ、とりあえず4年もったとしても、さらにもう1期を務められるかどうかは、そのときの景気次第だと思います。景気が好調なら、2期目も務める可能性はありますが、景気がボロボロだったら、そこでさようならでしょうね。
中野:気になるのは、やはりマーケットの動向です。トランプ大統領の発言次第で、拍手喝采が起こったり、ブーイングの嵐になったりするわけですが、マーケットはその都度、大きく振らされるわけです。任期を全うするか、弾劾裁判で途中退場を余儀なくされるかはわかりませんが、トランプ大統領がいるかぎり、続くのではないでしょうか。
藤野:今回、「トランプ相場」という言葉が登場したわけですが、これは間違った認識だと思います。
別にトランプが大統領になったから、株価が上がったわけではない。おそらく、ヒラリー・クリントンが大統領になったとしても、同じように株価は上昇していたはずです。なぜなら、日米のファンダメンタルズはオバマ前大統領の任期満了あたりから、徐々によくなっていたからです。
トランプ大統領は、この景気回復を強固なものにするのではなく、逆にそれを冷やす方向に作用するのではないかと懸念しています。それに、トランプラリーと呼ばれていたブル相場は、昨年の12月7日で終わっています。この日を境に、物色される銘柄の質が変わりました。将来に対する期待感はむしろ下がっているように思えます。加えて、彼はビジネスマンとしてさまざまな駆け引きを経験しており、今回の過激発言も、わざと言っているという意見もありますが、それは勘違いです。「幼稚なバカ」といったほうがいい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら