中野:そうですね。振れ幅の激しい環境こそ「積み立て投資家」がいちばん安らかにいられるでしょう。
よい銘柄を、株価を下がることを予想して保有する
藤野:重要なのは、株価が下がることを予想して保有することです。たとえ、トランプ大統領の言動で大きく下げたとしても、それは必ず戻ります。だから慌てない。いちばんやめたほうがいいのは、タイミングだけで売り買いすることです。よい銘柄をじっくり持つ。これが、これからの相場を乗り切るコツです。
渋澤:それにしても、こんな状況って初めてですよ。私、子供の頃から大学を卒業するまでずっと米国で生活していたじゃないですか。かれこれ50年近く米国と付き合っていて、彼らの歴史もそれなりに学んでいます。
でも、大統領選挙の前後でここまで混乱をきたした大統領って、トランプ大統領が初めてです。レーガン元大統領が就任したときも、かなり反対者がいて、「元俳優に何ができるんだ」みたいな意見もありましたが、ここまでひどくはなかった。レーガン元大統領は、「いいおっちゃん」だったのですが、トランプ大統領は明らかにいいおっちゃんじゃない。「アメリカファースト」だって、もともと米国はそういう傾向があったわけです。でも、ここまで米国が、周辺諸国からリスペクトを失ったというのも、おそらく初めてのことではないでしょうか。これは、米国にとっては非常に大きな痛手になると思います。
藤野:そうですね。米国は人権を重んじる国ですが、今回の外交方針の転換は、こうした人権の価値を大きく貶(おとし)めたと思います。
渋澤:米国の建国精神を貶めたという意見はとても多くて、最近では、カリフォルニア州では市民が脱国するムーブメントを起こしているなんて話もネットニュースで見掛けますね。実は、私の母は、今も米中西部のミズーリ州に住んでいて、今まで政治にはまったく無関心な人間でした。しかし、最近は結構、トランプ大統領のニュースがテレビで流れるたびに、「オー! スーチュピッド!」とテレビに向かって怒りの言葉を投げつけていると父が嘆いていました(笑)。ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカからアンユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカになってますね。
中野:トランプ現象にしても、Brexit(英国のEU離脱)にしても、根は同じではないかと思います。人種差別と偏見、白人優位主義、それに伴った思い上がりが垣間見られるのですが。
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