池上彰、佐藤優「Yahoo!ニュースの見方」7極意 「日本最大のニュースサイト」何をどう読む?

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【4】基本的に「娯楽で見るもの」とわきまえる

佐藤:「Yahoo!ニュース」のアクセスランキングを見ると、事件や芸能、スポーツ関連の記事がいつも上位を占めています。つまり、Yahoo!ニュースは基本的には「娯楽」で見るものなんですね。ビジネスパーソンのニュースソースとしては使い勝手がいいとは言えません。

池上:そこのところが、それだけで「ニュースを見た」と言ってしまうのは危険だと思う理由です。

【5】「飲み屋で話題になりそうなニュース」が多い

佐藤:言い方を変えると、Yahoo!などのポータルサイトの情報は、ニュースの中でも「飲み屋で話題になりそうなニュース」が多いということなんですね。もちろん、ビジネスパーソンにとって話題が豊富なことは悪いことではないので、「話題を増やす」にはいいと思いますが。

「世間の関心」を知るためには便利

【6】「世間の関心」を知るには便利

池上:「飲み屋で話題になる」ということは、一般の人がどのようなことに興味・関心があるかということにつながります。

『僕らが毎日やっている最強の読み方』刊行を記念し、代官山 蔦屋書店で佐藤優氏のトークイベントを開催します。詳しくはこちら

佐藤:はい。私自身も、「ニュースを知る」というよりも、「世間でどんな芸能・スポーツニュースが関心をもたれているかを知る」ためにYahoo!ニュースを見ています。

池上「いま世間で何が話題になっているか」を知っておくことも大切ですからね。ネットのニュースも、使い方によっては情報源にもなるということですね。

【7】「中吊り広告」と同じで、社会への影響力が大きい

池上:ただし、ネットメディアの「世間への影響力」は侮れません。たとえば、私が朝日新聞で連載しているコラムが掲載拒否されるという出来事が2014年にありました。この騒ぎは、『週刊文春』のデジタルサイトが掲載した記事をYahoo!ニュースが取り上げたことで、一気に広まったものです。

佐藤:政治家の不祥事なども含めて、週刊誌のスクープは、週刊誌単発で終わってしまうか、新聞なども含めた他のメディアが後追いするかどうかで、影響力に大きな差が出ますからね。

池上:裏を返すと、いくら週刊誌がキャンペーンを張ったりスクープ記事を飛ばしても、ポータルサイトが取り上げず、新聞やテレビも後追いしなければ、なかなか広がらない。週刊誌単発での影響力が弱くなっているのでしょう。

佐藤:ある意味で、Yahoo!ニュースは、週刊誌の「中吊り広告」と同じなんですね。中吊り広告は「事実」とは異なる可能性もありますが、中吊りだけを見て判断する人も多く、それによって世の中のイメージが作られていくのも事実です。同様に、Yahoo!ニュースは、ニュースのごく一部ですが、それによって世の中の関心や情報空間がつくられていく面も多々ある。だから、その点でもYahoo!ニュースは見ておく必要があるわけですね。

池上 彰 ジャーナリスト

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いけがみ あきら / Akira Ikegami

1950年、長野県生まれ。1973年慶応義塾大学卒業後NHK入局。ロッキード事件、日航ジャンボ機墜落事故など取材経験を重ね、後にキャスターも担当。1994~2005年「週刊こどもニュース」でお父さん役を務めた。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在、東京工業大学特命教授。名城大学教授。2013年、第5回伊丹十三賞受賞。2016年、第64回菊池寛賞受賞(テレビ東京選挙特番チームと共同受賞)。著書に『伝える力』 (PHPビジネス新書)、『おとなの教養』(NHK出版新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『世界を動かす巨人たち〈政治家編〉』(集英社新書)など。

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佐藤 優 作家・元外務省主任分析官

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さとう まさる / Masaru Sato

1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了。

2005年に発表した『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)で第59回毎日出版文化賞特別賞受賞。2006年に『自壊する帝国』(新潮社)で第5回新潮ドキュメント賞、第38回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『読書の技法』(東洋経済新報社)、『獄中記』(岩波現代文庫)、『人に強くなる極意』(青春新書インテリジェンス)、『いま生きる「資本論」』(新潮社)、『宗教改革の物語』(角川書店)など多数の著書がある。

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