スーツの形などファッション性に大きな差がなくなる中、リクルートスーツに求められているのは機能性だ。就活も冬の時期から夏場にかけて行われるため、さまざまなシーズンに対応できるだけでなく、洗濯機で洗えたり、面接で緊張して汗が出るシーンを想定した消臭機能、汚れがつきにくくシワになりにくい素材といった、使い勝手の面が重視されている。アイテムについても、バッグは軽量で、A4のサイズの書類に加えてPETボトルも入れられる大きさにしたり、靴も歩きやすい形状を意識するといった製品開発が行われている。
ほかの紳士服ショップやメーカーも、機能性を重視した差別化で就活スーツのアピールを行っている状況だ。
服を選ぶ負担が減り、就活に集中できる
リクルートスーツが黒一色に染まる現状に対して「没個性的だ」「新たな発想が求められている中、服装は画一的すぎるのではないか」という意見は少なくない。しかし、どこかの会社が「服装自由」という採用手法をとったとしても、大多数がスーツでの試験や面接を求めているかぎり、黒いスーツを求める傾向は変わらない。むしろ、黒いリクルートスーツ以外に、別の就活のための服装を用意するという状況になり、学生にとっては、経済的にも時間的にも負担が大きくなる。
学生からすれば、服装のことに時間を取られず、本来の自己分析や面接対策、業界研究に集中できるメリットもある。そして何よりも、外見より、本人の内面性やこれまでの活動が重視される就活に変わってきていることこそ、歓迎すべきことなのかもしれない。
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