「夫が率い、妻が続く」夫婦関係は永遠でない

夢の脱サラ晩婚カップルにじわじわ異変

誰かを助けるためには優しさだけではなく実力も必要なのだ(イラスト:堀江篤史)

独立、店のオープンと同時に結婚するも…

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某県の市街地で営業中の飲食店に来ている。オーナーの坂井正隆さん(仮名、41歳)は働きすぎなのか、やつれぎみの印象を受ける。聞けば、この4カ月間は丸1日休んだことはないという。

3年前に開店した1号店は順調だが、昨年に開いた2号店と3号店が利益不足および人手不足に陥りがちなのだ。優秀なスタッフはほしいが高い給料は払えない。2年前に結婚したばかりの正隆さんと妻の幸子さん(仮名、38歳)は休むに休めない状況が続いている。

「店のオープン記念日に入籍しました。結婚式はやらず、指輪も交換していません。その代わり、写真をプロに撮ってもらい、ちょっと高級な日本料理のお店で食事をしました。普段は店の残り物で食事を済ませているので、すごくおいしかったです」

2年前の思い出を遠い昔のように振り返る正隆さん。独立開業する前は地元では安泰で知られる優良企業の正社員だった。それだけに、この3年間は濃密すぎて時間の流れが遅く感じるのだろう。

正隆さんにとって幸子さんは会社の後輩である。ただし、彼は幸子さんと付き合う前にも社内結婚を経験している。8年間の結婚生活で2人の子どもに恵まれた。なぜ別れてしまったのか。お疲れのところ申し訳ないが、離婚理由から聞いておきたい。

「大きな理由は2つあります。1つは、自宅を建てるか否か、です。僕には両親の家と祖父母の家がそれぞれ県内にあります。いずれは引き継いで住むのだから新しく土地と家を買う必要はないと思っていました。ローンも好きじゃありません。子どもたちの学費もかかるのだから余計なことにおカネを使いたくなかったんです。でも、前の妻は違いました。アパート暮らしはもう嫌。うちの両親や祖母と同居するのも嫌。それで言い争いが絶えませんでした」

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