週60時間勤務は当然?「医者の不養生」の実態 こうやって不養生の医者が作られる

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昼食はカレーかカップラーメン?

医師の場合、昼食を食べるのは病院内であることが多いのです。病院は多くのサラリーマンが働くような都心にはあまりありません。近くに定食屋があるということは少なく、あったとしても、そこに行くまでに時間がかかり大変です。通常、医師が外食するとしても院内の食堂くらいしかないのですが、多くの医師が食事する場所は院内に設けられている医局(医師用の机が置いてあり、そこで調べものをしたり休憩をしたりする)になります。

私も病院内の医局をいろいろなところで見学していますが、昼食時、そこでは医師がカップラーメンやレトルトのカレーを食べていたりします。

なぜ医師はそんな貧しい(?)食事しかできないのか?

皆さんが病院の外来で受診されたりする際、午前中の時間は9~12時もしくは12時30分が多いと思います。ただ時間内に終わることはまれで、特に大病院で患者が混んでいるところなどは、13時を過ぎることがほとんど。昼からの外来が14時からだとすると、カルテの処理を終え医局に戻ってくるのが13時30分。次の外来や病棟回診までほんの十数分で昼食を済ませなければなりません。

そうなるとコンビニのおにぎりやカップラーメン、レトルトのカレーぐらいしか食べられません。医局で食事をしている医師を見ていると、そうした“簡単メシ”を一瞬でたいらげる光景を目にします。とにかく「スピード命の昼食」が医師の基本です。

また夕方から夜にかけても、のんきに食事を取れる時間はありません。一連の業務が終わったら廊下にずらっと並ぶMRさんの話を聞いたり、院内のカンファレンスや各種の委員会に出席しなければならない。そうこうしているうちに時間は非情にも過ぎ、家に帰って寝るまでの短い間に、昼食と同じように食事をかき込むこととなります。

医師にとって3食をよく咀嚼しながらバランスよく食べるということは、無理な話なのです。

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