賃料3.5倍増!宇都宮「もみじ通り」の奇跡 1人の不動産屋が衰退地域をよみがえらせた
飲食店に加え、子供服店、ギャラリーなど数だけでなく、業種も増えたもみじ通りで、塩田氏が考える次のステップは住宅だ。店舗を構えた人たちがこのエリアに住み始めており、人口も少しずつ増えているが、周囲の高齢化はそれを上回るスピードで進んでいる。
現在、この地域では80~90代の高齢単独世帯が急増しており、相続でお屋敷がアパートに変わるケースなどが多々見られる。が、塩田氏はこうした邸宅の建て替えや売却以外の策を考えることで、上質な住宅街の雰囲気を維持しようと試みている。
「もみじ通りには住みたい人が増えているのに、供給はほぼゼロ。一方、お屋敷を継ぐ世代は地元に住んでいないため、ニーズに気付かず、相続時に売却、あるいは賃貸アパートを建設してしまう。そこを変えたいと考えています」(塩田氏)
ネットを見ない世代向けのメディアを開始
そこで、2016年の夏、この地域の350世帯だけを対象にした極小地域メディア「日々、もみじ」を発刊。全戸に配った。4カ月に1回のフリーペーパーで地域の現状を、ネットを見ない世代にも伝え、お屋敷を残す意識醸成につなげたいと考えている。
宇都宮市と栃木銀行、宇都宮大学と組んだ空き家対策も始めた。もみじ通りに注力してきた塩田氏の実績が認められ、この通りをモデル地域として、建物所有者に今後の意向を問う調査を行い、その結果に基づいて空き家発生を防ぐ施策を考えていくことになるという。
いよいよ、本格的に街が変わりそうだが、塩田氏はそれも自分が好きに生きて行くためにやっていることと気負わない。「自分も住むところを探していますから、この地域に住める状況をつくっていきたい。これまでに欲しいと思う家がどんどん無くなってきており、そろそろ止めなくては」。塩田氏の活動を見ていると、街は誰か1人がやりたいことをやるだけで、変えることができるのだという希望がもてる。
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