部下の支持を得られない上司の残念な接し方 話を「聞く」のではなく「訊く」姿勢がキモだ

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話を「訊」いて信頼を得ないと前に進みません(写真:node / PIXTA)
張り切って部下に指示や指導をしているのに、逆に部下から嫌われてしまう。『自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書』の著者、篠原信さんが、部下が心を開く上司の話の聞き方を解説します。

なぜ部下はやる気を失ったのか?

ラポールとは、カウンセラーと患者の間で「心が通い合っている」「わかってくれている」という心理学の用語だ。出会いたてのころには特にこれを上司と部下の間でも、仕事を一緒にしていくうえで差し支えない程度には形成しておきたい。

ラポール(信頼感、親しみ)が形成できていないと、「疑心暗鬼を生ず」で、「上司は意地悪からこんなことを言うのに違いない」と被害者意識で言葉をねじ曲げて受け取りかねない。ラポールの形成に失敗すると、後でなかなか取り返せないので、部下との仕事が始まった当初から、相当意識しておく必要がある。

失敗事例から考えてみよう。Aさんは初めて部下をもてる上司になって、ちょっと興奮気味。部下と一緒にバリバリ仕事をしたいと期待が膨らんだ。そこで、部下になった新人に仕事に対する自分の情熱、これからの夢などを熱心に語りかけた。新人も社会人になりたての興奮もあって、熱心に耳を傾けてくれた。反応が良いこともあって、さらに熱く語った。

Aさんは自分が仕事を覚えるまでにいろいろ失敗を重ねてずいぶん回り道をしたから、そんなことをせずに済むよう、自分以上のスピードで部下を育てようと、営業先にもどんどん連れて行き、夜遅くまで一緒に残業し、仕事を終えても一杯おごるからと飲みに連れて行き、仕事への情熱を一所懸命に語り続けた。

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