駅伝王者・青学の脅威となる知られざる2校

潜在力を秘めた1年と監督が結集する

東海大のように最先端の設備があるわけではなく、青山学院大のようなブランド校でもない。しかし、着々と“箱根上位校”に成長したのが中央学院大だ。箱根駅伝に15年連続出場中は、東洋大、駒澤大、早稲田大、日本体育大、山梨学院大と中央学院大の6校しかない。これだけでも、スゴさが伝わると思うが、川崎勇二監督の手腕は近年、神っている。

箱根駅伝の順位は8位、9位、6位と推移して、チーム初となる「3年連続シード」を獲得。今年度は出雲が過去最高の4位、全日本が過去最高タイの5位に入っている。しかも、今回は1年生が主体のチーム。次は「トップ3」や「優勝」という目標を掲げるかと思いきや、川崎監督の指導ビジョンも変わらない。「今回は1年生に主要区間を任せて、上級生を活かしながら下級生を育てることを考えました。来季はこの2年間、目標にしてきた『5位以内』を確実に達成できるような堅いチームを作りたいと思っています」と話しているのだ。

ひとりでも多くの実業団選手を育てたい

本コラムの筆者、酒井政人の著書『新・箱根駅伝 5区短縮で変わる勢力図』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

川崎監督の指導術をひとことで表現すると、決して「欲張らない」ことだろう。それは選手勧誘から徹底していて、どの大学も欲しがる全国上位のランナーは勧誘しない。その代わり、「大学で伸びる」とにらんだ選手には、高校1年生のときから声をかけているのだ。トレーニングに関しても、インターバルの本数は1000メートルなら3本ほどと極端に少ない。距離走のペースもゆっくりだ。その反面、効率的なランニングフォームを指導して、主力選手にはオーダーメードともいえる個々に合った練習メニューを与えている。

「拒否反応を起こすような厳しい練習は意味がないですし、箱根駅伝で優勝するために私はやっておりません。箱根で勝つことを考えると無理がある。私は箱根駅伝の優勝よりも、選手たちが地元へ帰ったときに、『成長したな』『大人になったな』と言われるような4年間にしたいですし、ひとりでも多くの実業団選手を育てたいんです」

来年のことを言えば鬼が笑う、というが、来年の箱根駅伝ではどの大学が笑うのか。黄金時代を突っ走るアオガクだけでなく、東海大と中央学院大の「1年」にも注目してほしい。
 

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