大事務所の場合は会社組織同様、経験年数や所内の評価に応じて弁護士を“昇進”させるため、パートナーも細分化されている。昇進もシステマチックだ。まずはパートナー予備軍としてとりあえずは出資をしなくて良いジュニアパートナーに昇進させ、そこから数年で出資を求められるシニアパートナーに昇格させる。
ちなみに、イソ弁のことを大事務所ではアソシエイトと呼び、このアソシエイトにも年次や所内での評価に応じて序列がある。基本的には司法修習期が上下関係のモノサシになる世界なので、パートナーへの昇格も司法修習期順であるのが一般的ではあるが、この法則を適用していないのが西村あさひである。
4大事務所の中で、最もシビアなのは……?
4大事務所の中でも最も弁護士の「稼ぎ」にシビアだと言われるのも西村あさひで、ウェブサイト上の掲載順は内部の人事上の順番になっている。現金の稼ぎ以外にも、メディアへの露出度、特に権威ある法律専門メディアへの露出度や、論文や書籍なども評価の対象になる。ただ、事務所内でのパートナー間の競争はかなり激しく、「アイツはメディアへの露出だけで評価されていて、ちっとも稼がない」などと陰口をたたく弁護士がおり、所内の階級闘争もシビアだ。
長島・大野・常松やアンダーソン・毛利・友常でも、入所からおおむね10年目から12年目前後でジュニアパートナーに昇格し、出資をするシニアパートナーと出資をしないジュニアパートナーという組織構成になっているが、ウェブサイト上の弁護士名簿はまだ司法修習期順になっている。
4大事務所の中で唯一、司法修習期に関係なくパートナー全員が対等なのが森・濱田松本。全員が対等なので、パートナーにシニア、ジュニアの区別はない。
4大事務所では複数のパートナー弁護士がチームを組む場合が多く、クライアントから支払われる報酬は、チームを構成している各弁護士に配分されることになる。最初に案件の相談を受けたのが誰で、実際に案件処理に貢献したのが誰か、といったことを基準にパートナー間の報酬配分は決まっていく。案件は引っ張ってきたけれど、案件の処理にはかかわっていない弁護士にも一定の報酬が配分される。たとえば自分はファイナンス分野に強いが、依頼案件は知財案件だったという場合は、知財に強い弁護士に処理を頼むことになる。
実際に処理を請け負うパートナー間でも報酬の配分はさまざまだ。案件の処理はすべて若手のパートナーに任せておきながら、形式的な“主任”の地位だけは手放さず、報酬の配分だけはしっかりいただくという強欲なシニアパートナーもいれば、実際の案件処理に貢献した若手のパートナーに手厚く配分する寛大なシニアパートナーもいる。
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