弁護士業界の最強集団”ブル弁”の生態とは? ヴェールに包まれたその“稼ぎ”は?

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だが、事務所経費を差し引き、弁護士個人の手元に残る金額となると、まさに人それぞれ。事務所経費がどのくらいかかっているのかを外部からうかがい知る術はないし、4大事務所所属のパートナーなら億万長者というわけでもない。

「あの弁護士は親族に不動産業をやらせているから、実際の実入りは億では済まない」などという、かなりきわどいうわさも頻繁に飛び交っている。弁護士は弁護士業務以外の営利業務を営む場合は、弁護士会への届出を必要とする。この届出をしないままナイショでかなり大掛かりにやっている、という意味でも十分きわどいが、中には弁護士業務でクライアントの資産内容を知り、クライアントに強引に事実上自分が経営している不動産会社に保有不動産を安く売却するよう強要する弁護士も残念ながらいる。

税務署が申告納税額上位者、いわゆる長者番付の発表をやめる以前は、長者番付に載る弁護士が何人もいたので、長者番付に載った弁護士は申告所得を類推することができた。その当時から、「あれほど稼いでいるのに、アイツの名前が長者番付に載ってないのはおかしい、別の事業で脱税まがいのことをやっているに違いない」などといううわさが飛び交うこともあったが、長者番付の発表終了後は稼ぐ弁護士の申告所得を知る術はなくなっている。ちなみに、日本弁護士連合会のアンケートに、8000万円以上の申告所得があると答えた弁護士は、有効回答数(817人)のわずか0.7%である。

ブル弁の階級闘争

一般に弁護士の世界は司法修習期、つまり法曹としての経験年数で上下関係が決まる。裁判官や検事を定年退官して弁護士に転身すると、当然、弁護士としては新人ということになるが、司法修習期がモノサシになるので、弁護士登録初年度から大先生として扱われる。したがって、事務所の入り口に掲示している弁護士名も、ウェブサイトに掲載する弁護士名も、大半の事務所では司法修習期順になっている。

小規模な事務所であれば、親分の弁護士の下に子分の弁護士がぶらさがるという力関係が一般的で、親分を所長、もしくはボス弁などと呼び、子分の弁護士を居候弁護士を略してイソ弁と言う。かつては3年~5年程度で自力で稼げる力をつけて親分から独立するのが普通だったので、司法修習を終えて最初に入った事務所では、「イソ弁」はふさわしい呼称だった。

だが、最近は独立せずにそのまま留まるケースが増えている。そうなると、事務所の収益に一定の貢献をするようになった弁護士に、イソ弁という呼称はふさわしくない。

さらに、事務所経営に参画してほしいとボス弁から期待されるようになれば、事務所に出資もし、経営にも参画する。このため、こういった経営に参画するクラスの弁護士を、共同経営者という意味でパートナー弁護士と呼ぶ。

パートナー昇格と同時に事務所名を変更するケースもある。従来は鈴木法律事務所だったが、山田次郎弁護士がパートナーに昇格したので、事務所名を鈴木・山田法律事務所に変更する、というようなケースだ。

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