2017年の日本株、「1月第1週目」は底堅い? 2001年以降の日経平均株価を検証してみる

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もっとも、日経平均が堅調に推移するかどうかは国内の経済政策にもかかっていると考える。2016年11月からの上昇相場は、トランプ次期米大統領への政策期待が原動力となっており、国内で何か変化が起きたわけではない。債券から株式に資産を移すグレートローテーションの一環として、日本株にも投資資金が流入したに過ぎない。

株価持続には「国内の構造改革」が必要に

この上昇を持続させるには、「働き方改革」など成長戦略を推進し内需を刺激することが必要と考える。為替の円安円高は、諸外国とのパワーバランスによる歪による変化のため流動的だ。しっかりとした内需の成長性を主軸にすることができれば、日経平均は2015年6月24日につけたアベノミクス相場の高値2万0952円を上回ることができそうだ。トランプ旋風という「神風」が吹き、支持率も非常に高い今こそ、積極的な構造改革を進めるべきと考える。

なお、2017年最初の寄稿でもあることから、最後に一つ筆者が考えていることを付け加えたい。昨年末、某メディアで金融市場に関する質問を募集した際、「今後アナリストはどうあるべきか?」という質問を頂戴した。筆者は「人工知能(AI)とアナリストの融合」といった方向性を考えている。

昨年から、AIが運用指南を行う「ロボ・アドバイザー」サービスがスタートした。まだサービスを開始したばかりで明確な評価は定まっていないが、こうしたAIを駆使した金融サービスに足りない点を補うのが、今後のアナリスト(個別企業の分析を手掛けるアナリストではなく、筆者のようなマーケットアナリストを指す)の姿なのではないだろうか。「ロボ・アドバイザー」のメリットは人間という煩わしい存在を介さない点と、自分で運用先を考えなくていい点だろう。しかし、無機質なサービスでは満足できない利用者が現れた場合、そうしたニーズに応えられるのがアナリストだと考えている。投資をするうえで諸刃の剣となる「投資家心理」を読み解くのは、まだまだ人間の仕事だ。

今後、AIによる企業分析や業績予想などが本格化すると、コスト、スピード面ではるかに優れたAIがアナリストの事業領域を侵食していくだろう。金融庁は、金融商品におけるコストの妥当性を疑問視しており、手数料の開示を銀行、証券、保険業界に求めている。2017年は、金融業界でのコスト削減の動きが加速するとみたほうがよさそうだ。ただのコストと思われない、しっかりとした相場の見通しを2017年も心がけていきたい。本年も宜しくお願いいたします。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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