目標を立てるときは必ず「プランB」も考えよ 「デキる人」はリカバリーが早い

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現在はフリーターとのことですが、たとえば正社員への登用実績があるような職場でまずはアルバイトとして実績を出し、正社員への道を狙うなど、やり方はいろいろありますから、自分にとってのベストな就職戦略を考えてみましょう。アルバイトだから評価されないとか、手を抜くという考えでは決していけません。アルバイトとして活躍できなかったり評価されない人は、絶対に正社員としても活躍できませんし、評価もされません。

目先のことをおろそかにせず、日々の生活や仕事において物事を成し遂げる実績を積み上げましょう。言い方は厳しいですが、仕事を辞めた、試験にも落ちてあきらめた、これを客観的に見ると、「辞めグセ」がついている人のようにも見えてしまいます。

もちろんいろいろ事情はあったでしょうから、ここではそのこと自体の判断はしませんが、それらを覆すような「成し遂げるクセ」や実績を持つに越したことはありません。そしていちばん実績を上げやすいのが、たとえそれがアルバイトという立場であったとしても、現在の職場であることは言うまでもありません。

そして、ここがいちばん重要なことですが、人生や仕事にかかわる行動をする際には、バックアッププランである「プランB」をつねに考えるようにしましょう。

さとしさんからいただいた文章を拝見していると、仕事を辞める、公務員試験を断念する、という今までの人生における大きな意思決定において、「次の一手」が熟慮されているようには思えません。

人生は自分が思い描いたとおりにいくとはかぎりませんから、さまざまなことを想定したうえで、複数の選択肢や次の一手をつねに頭の片隅においておき、メインのシナリオが崩れた際に、立ち止まってしまう時間を極力少なくすることが大切です。

なぜならば、人はたとえば公務員試験に受かるというメインのシナリオが自分にとっての唯一の選択肢だった場合、その前提が崩れた際にそこで思考停止をしてしまったり、「自分はダメな奴だ」というネガティブな方向に思考が偏ってしまう傾向があるからです。

大事なのは「失敗しないこと」ではない

そうではなく、メインとはいえそのシナリオが複数の選択肢のうちのひとつであったり、はたまたダメだった際のリカバリープランなどが用意されていれば、別の道に注力できますから、立ち止まらずに前に進めるというものです。

私自身、20代で勤務した3つの会社はすべて立ち上げたばかりの名もない会社でしたから、はたから見るとリスクのある選択肢のようにも見えたでしょう。前職の戦略コンサル会社にしても設立3カ月目での入社でした。しかし私の中ではキチンとした戦略とダメだった際のバックアッププランがあったので、自分としては周りが何と言おうと、「取れるリスク」だったわけです。

世の中、人生がうまくいっているように見える人がいると思います。そんな彼ら彼女らでさえ、すべてのことを100発100中で成し遂げてきているわけではありません。そうではなく、彼ら彼女らはダメだったときのリカバリーが早いという特徴があります。リカバリーが早いから、失敗しているように見えないし、想定どおりに物事が進んでいるように見えるのです。

それは人生だけではなく、仕事にも言えることです。大事なのは失敗しないことではなく、状況に応じた対応をいかに迅速にできるか、です。そのためには事前にほかの選択肢やプランBを熟慮することが求められるわけです。リスクが大きな状況であればなおさらです。

さとしさんも先の人生が長いのですから、いろいろと失敗もするでしょう。失敗しても転んでもよいのです。転んでもすぐ起き上がれば、絶対に前には進めますから。さとしさんが1歩1歩明るい未来に向かって歩まれることを応援しております。
 

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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