創部7年の野球部が、日本一になれた理由 新興野球部、躍進の陰にアメーバ経営あり

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そうした姿勢が結果に結実したのが、昨年秋の日本一を決める明治神宮大会だった。桐蔭横浜大学は昨秋のドラフト会議でプロ入りし、現在、先発ローテーションの一角として活躍しているふたりの好投手から勝利を収めている。齊藤のかけた対照的な言葉が、選手を後押しした。

2回戦では、松葉貴大(現オリックス)を擁する大阪体育大学と対戦。後にドラフト1位でプロ入りする左腕との対戦を前に、齊藤は「横浜商科大の岩貞のほうがすごいだろ?」と選手に問いかけた。岩貞祐太は普段、神奈川大学リーグで対戦している相手で、今年のドラフト候補に挙がる好投手だ。左腕から投げるスライダーは切れ味抜群で、松葉のほうがくみしやすいと齊藤は考えた。指揮官の言葉で気持ちを楽にして臨んだ選手たちは、松葉から5点を奪って快勝する。準決勝では強豪の亜細亜大学を下し、決勝に駒を進めた。

見逃し三振を怖がるな

法政大学との決戦を前に、齊藤は2回戦とは異なる言葉をかけた。相手投手の三嶋一輝(現DeNA)は球速150kmを超えるストレートと鋭く曲がるスライダーを武器とし、明らかに格上だ。日本一への重圧も選手にのしかかっている。その2点を考慮し、齊藤はこんな言葉をかけた。

「法政はプロ予備軍団。個人の能力では絶対に勝てない。自分たちのほうが下手だと思い、懸命に戦おう」

野球が面白いのは、個人の対決を繰り返しながらチームの決着をつける点だ。投手対打者は1対1の対戦だが、9人の打者が束になってひとりの投手に挑む構図でもある。三嶋を攻略するため、齊藤はこの点に活路を見いだした。

スライダーを決め球とする投手の攻略法に、「振りにいくゾーンを高めに設定しろ」というものがある。低めのボールを追いかけると、バットに当たってもゴロになる確率が高い。高めのスライダーをセンターから逆方向中心に、逆らわずに打つのがセオリーだ。そこで、齊藤はこんな指示を出した。

「低めのストレートを見逃し三振に倒れてもいいが、高めのスライダーは積極的に振れ」

スライダーとストレートの軌道は似ているため、低めのストレートには手を出さなくてもよしとした。

「要は、見逃し三振を怖がるなということです。『これ以上低めに来たら、絶対に振らないと決めろ』と言いました。それを審判がストライクと判定したら、仕方がない」

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