ブラックなのはすべて経営者のせいか?

仕事における「責任感」を考える

戦略コンサルタントを経て、現在、会津のバス会社の再建を手掛ける著者が、企業再生のリアルな日常を描く。「バス会社の収益構造」といった堅い話から、 「どのようにドライバーのやる気をかき立てるのか?」といった泥臭い話まで、論理と感情を織り交ぜたストーリーを描いていく。
仕事における責任感とは何か?(撮影:尾形文繁)

責任感は二面性を持つ

先日、ある著名な方のコラムで「職場に責任感など感じるな」というメッセージを目にしました。結構、話題になった内容のようで、要約すると中身は確かこんな感じでした。

「仕事に責任感を持つこと、言い換えると自分が欠けたら仕事が回らなくなると危惧することはそもそも間違っている。なぜなら、自分がいなくて仕事が回らないのは経営者のリソース配分の問題であって、本人に問題があるわけではないからだ。また、個人の存在など会社全体のサイズからみると誤差の範囲にすぎない。どうにでもなる。それが組織というものだ。要は自分が欠けたら仕事が回らなくなるというのは自意識過剰な思い込みで、その思い込みが自分を追い詰める。だからもっと自分の人生を生きるべし」(以上、要約の文責は私にあります)。

表現が極端なのはある種の「釣り」にしても、内容そのものは筋が通っていると感じました。責任感を過剰に持ち自らを追い詰め不幸な結果になることは確かにあり、それは自分を振り返っても周りを顧みても確かにそのとおりです。その論理もまさに上に書かれているとおりで、正直者ほど馬鹿を見るという傾向も否定できません。

そしてこういった論理への反論として、道徳的な面から「あまりに自分勝手で無責任だ。仕事に責任感を持つことは当然」というメッセージも巷間でよく目にしますが、理由の説明できない道徳論に説得力はありません。

それでは、本当に仕事に責任感を持つ必要がないのでしょうか?

私は上の考えに一面的には同意しますが、全面的には同意しません。何を言っているのかというと、私は責任感というのは2面性を持つものだと考えています。上の論理はどちらかというと責任感のマイナスの面であり、私が今回の連載で着目したいのは、責任感のもうひとつの面、プラスの面です。より具体的に言えば、仕事への責任感を持つことは、ほかの誰でもない自らのためにとても重要なのではないかと感じます。

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