「病院ランキング」だけで医者を選ぶリスク 危ない病院に引っかからない7つのポイント
これは治療法の説明にもいえること。
例えば、『開腹手術』と『腹腔鏡手術』では、先に言いだしたほうが医師の得意分野だ。説明の順番、HPの文量などから医師の本音を読み解こう。
「手術数でわかる」と謳うランキング本を参考に病院を選んだことはないだろうか。手術件数が多い病院は経験値が高いという意味で安心材料になるが、
「病院ごとの年間手術件数には、“誰が何件執刀したか”と“手術の結果”が情報として抜けていることに注意してください。
例えば、腹腔鏡手術で死亡事故が相次いだ群馬大学病院と千葉県がんセンターはどちらも県内で1位、2位を争う手術件数を誇る病院として、ランキング本で紹介されていました。件数が多くても、結果が伴うかは別問題」
とはいえ、手術件数がひとつの指標になることは否定できない。医師数などにも注意を払って判断しよう。
「食道がんの手術なら、年間15件執刀していれば訓練されている。胃がんや大腸がん、乳がんであれば70件以上、子宮がんや卵巣がん、前立腺がんは年間50件以上が信頼できる技術の目安。これらはすべて、1人の医師あたりの数字だと覚えておいてください」
1人の名医より“チーム医療”で判断
〇〇大学病院名誉教授、××センター長など、立派な肩書に患者は信頼を抱きやすい。肩書と腕のよさは比例するのだろうか。
「私立大学の外科に関しては、技術がなければ上にいけない仕組み。手術件数や手術成績などの実績が問われるため、肩書とイコールの実力であることが多い。ただし、いくら肩書が立派でも年齢が60歳近くになれば、手先の器用さを失います。技術が最も輝くのは、失敗もそれなりに経験した40歳前後。この年齢で立派な肩書を持っている医師がベストですね」
一方、国立大学の外科は論文をどれだけ書いたか、が教授選考で重視される。最近では手技を確認する風潮も出てきたというが、いまだに地方では“俺の後釜は彼でよろしく”という派閥人事や、“学長選で応援してくれたら教授にする”といったパワハラ人事が行われる病院もあるとか。
残念ながら、国立大学の教授でも技術はイマイチ……なんて医師もいるので要注意!
診断の質を決める専門医が常勤でいるかどうかも病院選びのポイントだ。
「放射線診断医が常勤でいる病院では、CTやMRIなどの画像から読影レポートが作成され、それを主治医が確認するダブルチェック体制になります。複数人所属する病院もあれば、1人もいない病院もあるのでチェックしてください」
同様に病理医の存在も重要だという。
「患者さんの細胞や組織を顕微鏡で観察しながら診断をするのが病理医の役目。この病理診断は、がんなどの治療をするうえでも欠かせません。というのも、がんは手術中に悪性か良性かを判断しながら進めなければいけない場合があり、院内に病理医がいることは大きな強みになるからです。
また、麻酔科医が手術中に行う管理が予後のカギを握るという意味で、常勤の麻酔科医がいるかどうかも判断材料のひとつとして覚えておくといいですね」