マツダ「新型CX-5」はどんな車に変わるのか 引き算の美学を追究したスタイリングは継承
それゆえ新型はどんな方向へと進むのか。とても興味を惹かれた。この段階ではプロトタイプというが、はたして魅力が強化されていた。
走るよろこびをこれまでより一段上げて
マツダの新型CX-5は2016年11月のロサンジェルス・オートショーで初お披露目されたモデルだ。僕もその場にいたが、米国を中心とする報道陣の関心は高かった。
新色の「ソウルレッドクリスタルメタリック」に塗られた車体が黒を背景に置かれたしつらえはマツダお得意のものだが、新意匠のヘッドランプをはじめシャープなフロントマスクとともに、従来のイメージを磨きあげた感覚が新しい。新CX-5を取り囲むように写真を撮るひとたちの様子を見ていると、同車が築いていた評価の高さに理解できた気がしたものだ。
「新型CX-5は走るよろこびをこれまでより一段上げて、乗員みんなが運転を楽しむクルマにしました」。マツダの車両開発本部の松本浩幸本部長はプロトタイプを前にそう語った。ステアリングホイールを切ったときの車体の動きを綿密に制御し、ドライバーには的確に動く操縦性のよさを提供するとともに、ほかの乗員は思った以上にからだが横に振れるといった不快さを感じさせないようにしているというのだ。
走るとしっとりした感覚をしっかり感じられるそうだ。2.2リッターディーゼルエンジンはまるでガソリンエンジンのように従来よりもスムーズに回るようになり、さらにあらゆるノイズがいままで以上に抑制される。ボルボやジャガーといったディーゼルエンジンに力を入れている欧州メーカーと比肩しうる出来のようだ。
乗り心地の硬さは従来のCX-5の(ファミリーカーとして使うなら)弱点といえたが、新型はダンパーを含めてサスペンションの各部品を見直し、最大限にしなやかさを追求したと謳われる。新しいシートは振動吸収性も大幅に向上させてあるそうで、あらゆるところで乗員の快適性を追求しているのが新型なのだ。
車内騒音低減にも徹底的に取り組んだというだけあって、ドライバーは従来型よりさらに小声でも後席の乗員、たとえば子どもたちと会話をすることが出来るといい、ファミリーカーとしての完成度の高さも新型の特徴であり、また魅力である。
(文:小川フミオ)
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