「TSUTAYA」のポータルが目指していること Tカードの強みを生かしたレコメンドとは?
大畠氏は、「かつてバラバラになっていた店舗の検索サイト、eコマースサイト、宅配サービスサイトのドメインとデータを会員基盤とともに統合して、顧客の使いやすさを実現した」と話す。さらに、「そのなかにオウンドメディアを作ることで、情報基盤をもち、One to One マーケティングを強固にしてきた。TSUTAYAはライフスタイルの提案を目的としている」と続けた。「T-SITE」は映画・音楽などのエンターテインメントの記事や、食やインテリア、ライフトレンドなどを扱う、ライフスタイルを提案するポータルサイトとなっている。
レコメンド機能の最適化の取り組み
Webの「T-SITE」は、閲覧する顧客ごとにレコメンド機能を使って、コンテンツをOne to Oneでカスタマイズする。店舗やネットでの購買・レンタル履歴、位置情報などを活用して、誰がいつどこで何を購買したのかをデータベースに蓄積し、社内DMPで情報の出し分けを行っている。
購入と検索のデータが組み合わさることで、過去のデータといま興味をもたれているデータの掛け合わせが「T-SITE」上で可能になり、ユーザーのニーズに近い情報提供を実現できる。部内では、データサイエンティストが所属するデータベース企画チームとコンサルタントが所属するコンサルティングチームに分かれて、2チームの知見を活かしながらPDCAを回して実験しているという。
さらに、店舗の利用履歴とネットでの閲覧履歴を統合できる仕組みを開発し、店舗でのサービス向上や新サービス提案のため、顧客の行動分析を行っている。その成果はすでに出ている。頻繁に店舗を利用している顧客層は「T-SITE」のどのページを閲覧しているのかを把握することが出来たと大畠氏。具体的にどのページが閲覧されているのかは明かされなかったが、「在庫ページがよく観られていると思っていたが、レンタル利用を頻繁にする顧客ほど、それまで親和性を感じていなかった意外なページを観ていた。そこで、そのページを改善しようという提案をすることができた」と大畠氏は話した。
さらにTSUTAYAで、自社のアルバイト情報を提供していたところ、求人情報を閲覧する顧客はTSUTAYA以外の職も求めているという知見を得た。そこで、2015年6月1日、ライフスタイル提案の取り組みの一環として、「おしごと発見T-SITE」をローンチ。求人件数や応募者数は急成長しているという。
今後の課題は、レコメンドの精度を上げることだと大畠氏。「過去の履歴と紐付けた提案をするだけでなく、今後は履歴データになっていない新作情報や感情データに関する提案も出来るように、予測に力を入れていきたい」と語った。
(Written by 中島 未知代)
DIGIDAY[日本版]の関連記事
Netflixの「データ活用術」。動画プロバイダーは、いかに生き残るべきか?
静かに巨大さを増す、Amazonの動画プラットフォーム戦略:YouTubeとはすでに臨戦態勢?
英老舗TVガイド、次なる100年を生き抜くデジタル戦略:いかに若年層を取り込むか?
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら