「認知症患者の行動」家族が背負う責任の重さ 法的問題と加害者になるのを防ぐのは別問題
横浜市港南区で集団登校中の小学生の列に軽トラックが突っ込み、1年生の男児が死亡した事故。自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の疑いで逮捕された合田政市容疑者(87)の刑事責任能力の有無を見極めるため、横浜地検は11月11日から3カ月の予定で合田容疑者を鑑定留置中だ。
鑑定留置とは「被疑者・被告人が精神障害などで刑事責任能力を問えない可能性がある場合に、精神・心身の状態を鑑定するため、被疑者・被告人を病院などの施設に留置すること」(コトバンク)。
各社の報道などを総合すると、合田容疑者は事故のあった日の前夜から軽トラックに大量のゴミを積み込んで夜通し運転し、高速道路を出たり入ったりしているなど、不自然な行動があったようだ。また、捜査関係者の問いにうまく回答ができずにいたりするなど、正常な判断力がない状況が推測され、認知症の症状が疑われている。
今回の事件、仮に容疑者が認知症を患っていて判断能力がないということになると、容疑者自身には刑事的にも民事的にも責任を問われないということもありうる。
被害者からすると、たまたま事故の相手が認知症患者であったというだけで、何らの責任追及もできないということになると、理不尽に感じるだろう。認知症が疑われるのなら、まともな運転ができる状態ではなかったはず。同居している家族がいるなら、運転を阻止する方策は取れなかったのかと考えても不思議ではない。
このような事故が発生した場合、その家族には何らかの責任が発生することはないのだろうか。
家族に責任が発生する場合もあり得る
事件や事故が起きた場合、誰が責任を取るのかは民法に規定がある。病気によって判断能力がない者が起こした事件や事故は、その者を監督する義務を負っている者が賠償する責任を負うとされている。今回のようなケースで家族に責任ありとされるためには、家族に「監督する義務」があったかどうかという点がポイントになる。
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