「フルタチさん」苦戦の裏にある新しい挑戦 古館伊知郎はあえて「正解」から背を向けた

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「フルタチさん」の収録を行った古舘伊知郎(2016年10月26日、写真:日刊スポーツ新聞社)

新番組「フルタチさん」が低視聴率に苦しんでいる

11月6日に始まった古舘伊知郎の新番組「フルタチさん」(フジテレビ系、日曜夜7時)が低視聴率に苦しんでいる。

NHKの大河ドラマや日本テレビの「ザ!鉄腕!DASH!!」「世界の果てまでイッテQ!」など、強力な裏番組が多い日曜夜の時間帯ということもあって、もともと苦戦は予想されていた。第4回の11月27日放送分は平均視聴率が8.0%と前回から2.2ポイント盛り返したものの、やはり長年続いた視聴者の視聴習慣をすぐに変えることは容易ではなく、一ケタ台の視聴率が続いている。

ただ、「フルタチさん」の苦戦には別の理由もある。それは、古舘がこの番組で新しいことを仕掛けようとしているからだ。それがあまりにも急進的であるために、ついていけないと感じる視聴者が多いということがあるのではないか。

今の時代、ほとんどの番組は過去の成功パターンをある程度まで踏襲した形で作られている。視聴率を取ることを厳しく求められる民放ゴールデンの番組はなおさらだ。グルメ、クイズ、衝撃映像など、いくつかの鉄板ネタをベースにして、それに肉付けをするようにして企画が生み出されていく。そこから感じられるのは、「成功したい」というよりも「失敗したくない」という守りの姿勢である。そういう番組が安定した数字を取る優等生的な番組になることはあっても、人々の間で語り継がれる歴史的な番組になることはほとんどないと言っていい。

古舘は2004年から12年にわたって「報道ステーション」でメインキャスターを務めてきた。そこでは、自由奔放かつ当意即妙なあの「古舘節」は完全に封じられてしまった。ニュースについて自分の意見を差し挟むことも許されず、たまに何か言うと「お前の意見は要らない」という視聴者からの苦情が殺到する。古舘は得意技を封じられたままで「報道ステーション」のリングに立ち続けた。

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