文章でバレまくる「永遠に二流の人」の共通点 メール、資料、企画書…あなたは大丈夫?

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それでは、「一流の文章力」の秘訣は何なのか。ここまで述べてきた「情熱・論理・センス」の3点に気をつけるのは当然として、「一流の文章」を書くうえで大切なポイントを3つに絞って追加的に解説しよう。

「一流の文章」を書くための大切なポイント

【1】読み手にとってのコストが低い

前述したが、一流の文章ほど「論理性・構造性」がしっかりしており、相手にとって「読むコスト」が低いものだ。10ページでも100ページでも、最初の1ページで要約があり、また最後の1ページでおさらいの要約がある。

この当たり前の基本が学校教育で教えられていないことが残念でならない。往々にして国語の授業は、意味不明で論理的構造のない随筆文をだらだら読ませて、「あーでもないこーでもない」と仙人チックな談義に何年間も費やしてしまっている。

わかりにくい文章、要約なき文章は、知的マナーに反しており、読み手に対する敬意に欠けると、シュプレヒコールで糾弾されても仕方がないのだ。

【2】内容をひと目で、思い出せる

「冒頭での要約」に加えて、「結局何が言いたかったのか」を最後に念押しで端的にまとめることも、読み手への配慮として重要である。

まとめ方のコツは、全体を要約するような見出しをつけ、ポイントを短い文章で明確に示すことだ。また過度に抽象的になっても退屈で読まれないので、魅力的なイラストなどを図で追加できれば理想的であろう。

せっかく時間をかけて読んでくれる人のために、後ですべて読み返さなくても、1枚見れば直観的に内容を思い出せる箇所をつくっておくと、それは読み手に対してより親切だと言える。

【3】細部に果てしなくこだわる

最後に強調したいのが、果てしなき細部へのこだわりである。

文章の構造や論理性にこだわるのは当然として、表現ひとつから、単語ひとつにいたるまで、何度も全体を読み直して、文章を研ぎ澄ましていくのが基本である。私自身、本を書くときは本当に100回くらい読み直し、句読点の位置ひとつを病的なまでに直しまくり、編集者に怒られまくるのだ。

ディズニーランドしかり、根強い人気を誇るサービスはお客さんが気づかないこだわりが細部まで浸透しているものだ。普通、気づかれないレベルで細部に徹底的にこだわってこそ、一流の文章を書き上げることができるのである。

新興メディアの発達によって、動画でいくらでも面白い情報が無料でとれるこの時代、昔ながらの「文章」というメディアが生き残るためには、文章の細部に一流のこだわりを持てるかどうかにかかっている。

さもなければ、書き手が苦労して長時間を費やしたわりに、誰も決して読まないという恥ずかしすぎる二流の文章が、「いいね」ゼロ、「シェア」ゼロ、「フォロワー数」ゼロという”恥の三冠王”を達成しながら、今日も「存在感ゼロの敗北街道」を驀進するのである。

ムーギー・キム 『最強の働き方』『一流の育て方』著者

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Moogwi Kim

慶應義塾大学総合政策学部卒業。INSEADにてMBA取得。大学卒業後、外資系金融機関の投資銀行部門にて、日本企業の上場および資金調達に従事。その後、大手コンサルティングファームにて企業の戦略立案を担当し、多くの国際的なコンサルティングプロジェクトに参画。2005年より外資系資産運用会社にてバイサイドアナリストとして株式調査業務を担当した後、香港に移住してプライベート・エクイティ・ファンドへの投資業務に転身。英語・中国語・韓国語・日本語を操る。著書に『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(母親であるミセス・パンプキンとの共著)など。『最強の働き方』の感想は著者公式サイトまで。

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