同社の強さは優れた商品開発力と実演販売を武器にした営業力だ。商品を輸入するだけでなく、顧客ニーズを吸い上げた上で、それを満たす商品を自社開発している。販売している清掃機械の約60%を新商品が占めており、常に鮮度の高い商品を顧客に提供し続けている。
商品を売り切る営業力は、「実演販売」が支えている。数値だけでは伝わりにくい機械の能力を、実演によって伝える。高度な実演販売のスキルを持った人材が平均価格100万円の高額機械を販売しているのだ。
人材育成には特徴がある。顧客に価値を実感させる実演販売中心の営業手法であるため、座学の研修で知識を学ぶだけでは、十分な営業能力が身に付かない。このため、現場での経験を通した人材育成によって、高額製品を販売する人材を育成している。社員研修など座学コースを豊富に提供することで、人材育成に熱心だとアピールする企業は多い。しかし、本当の実力というものは、現場での経験を通してしか身に付かない。
蔵王産業は、土方孝悦氏(69)が2002年から14年間、社長として現在の事業基盤を作ってきた。今年4月、営業を支えてきた14歳若い北林恵一氏(55)に社長をバトンタッチしている。5月の記者会見では、土方会長が隣に座った北林社長に対して、従来とは違った展開を期待している旨の発言をしている。今後の展開に注目だ。
同社の推計によると、日本国内の業務用の清掃機械市場は、約500億~600億円。一方、同社の2017年3月期の売上高計画は70億円と、市場全体の2割に満たない。新社長のもとで事業が拡大する余地は大きい。
総合化学メーカーよりも実は高年収
次に紹介するのが、東証1部に上場している化学品メーカーの「ニイタカ」だ。主にフードビジネス向けの店舗清掃用洗剤や食器用洗剤、固形燃料などを製造している。2016年5月期の売上高は148億円で、本業の収益力を示す営業利益は6.5億円である。
業務用洗剤の国内市場は約700億円と推計され、国内のシェアトップは花王の関連会社である花王プロフェッショナル。ニイタカは業界3位だ。しかし、同社は、「カエン」のブランド名で展開し、国内シェアトップの固形燃料も生産している。
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