40~50代に多い介護離職を避けるための知恵 介護保険や介護休業の基本を知っていますか

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介護保険を使うには、お住まいの市町村に「介護や支援が必要な状態」であると認定される必要があります。市町村の介護保険課や高齢者福祉課などの窓口や自宅を管轄する地域包括ケアセンターを通じて「介護保険 要介護・要支援認定等申請書」を提出。そこに詰めている専門スタッフからのアドバイスも受けられます。

申請書の提出後に、認定調査という申請者本人や家族の状況についての聞き取り調査が行われます。さらに、申請者の主治医から主治医意見書を提出してもらいます。これらの事前情報を基にして、コンピューターで一次判定を行います。次に、保健・医療・福祉の専門家で構成された「介護認定審査会」が開催され、二次判定を行います。申請から認定までは原則として30日以内に行われることになっています。

市町村等の窓口対応と家族の焦りとの間に温度差を感じることもあるかもしれません。居宅介護支援事業所リストを渡され、なんの情報もないままケアマネジャーを選ぶように促されます。行政である以上、そこは割り切って考えたほうが良いかもしれません。

ケアプランはケアマネジャーが作成します。ケアマネジャーは一人で35人程度のケアプランを作っています。とても忙しい職種です。ケアマネジャーと上手に付き合う方法は、家族の代表(キーパーソン)を決めておき、その家族の代表がケアマネジャーとの対応にあたることです。ほかの家族がわいわいと言わなければケアマネジャーとのやりとりがスムーズになって、その結果、話がしやすい環境になります。家族との報連相も欠かせません。

ケアプラン作成時に、同じ介護サービスを提供する複数の事業者候補を挙げてもらえたらそのケアマネジャーは私たちのことをとても考えてくれています。いちいち家族の意向を聞いていたら仕事が終わらないとケアマネジャーの都合でケアプランを作れるからです。よくわからなければ尋ねて大丈夫です。理解しようとする姿勢が大切です。真剣さはケアマネジャーに対する軽いプレッシャーにもあり、また、家族の前向きな姿勢として写るかもしれません。

介護休業とは?

介護休業も有効です。この制度は、育児・介護休業法により認められた家族介護のために通算93日まで休業できる制度です。休業開始予定日の2週間前までに勤め先に申し出ることで休業が可能となります。休業期間は無給となることが多く、その期間は無収入となります。そのため、厚生労働省は介護休業給付金制度を設けています。介護休業が終わった後の申請となりますが、休業期間の賃金の67%(平成28年8月1日前の介護休業開始の場合は40%)が支給されます。

上記の長期的な休業制度のほかに短期間の介護休暇制度があります。同じく育児・介護休業法により認められた制度で、家族介護のために1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで休暇をとることができるものです。

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