それでもバーナンキがQE3を縮小する理由 HSBCチーフエコノミスト/ケビン・ローガン氏に聞く

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縮小

インフレ期待加速なら、政策金利の引き上げで対応

――景気回復期待が出る中で、バランスシートが縮小しないままであれば、いわゆる「乾いた薪」となり、バブル再燃の恐れがないでしょうか。

確かにその心配をしている人はいる。銀行システムにおいて流動性が潤沢であるという状態になってしまうからだ。インフレ期待が高まるなら、それに応じてFFレートを速いペースで引き上げるということになるだろう。FFレートは効果的なツール(道具)であるし、バランスシートの大きさに関わらず使えるツールだ。その場合、2015年末のFFレートは1.5%あるいは2%になるかもしれない。本当は、ゆっくりと進めたいが、そういうこともありうる。

――バランスシートの積極的な縮小に着手しないと見るのは、FFレートに比べて、債券売却の効果のほうが読みにくいからなのでしょうか。

そのとおりだ。

――米国経済の見通しについては、FRBや多くの民間エコノミストよりもネガティブなようですね。

過去数年、第4四半期の前年同期比のGDP成長率の見通しを年初にどう予測していたかを見ると、2010年の場合、FRBは3.2%、民間のコンセンサス予想は2.9%だったが、実績は2.4%だった。2011年ではさらにFRBやコンセンサス予想と実績の差は拡大した。昨年も2011年ほどではなかったが、開きがあった。金融危機後、米国はレバレッジ削減を進めているので低成長となっている。

今年の場合、FRBの予想は2.7%、コンセンサス予想は2.2%だが、私は1.8~1.9%と見ている。2013年の実質GDP成長率を1.8%と予想している。政府の財政支出が抑制されていることが足かせとなり、2%を超えることはないと見ている。しかし、財政の足かせがなくなってくる2014年以降は、徐々に上向いてくるだろう。

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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