日本銀行・黒田総裁へ、7つの緊急提言 日銀「異次元緩和」の弱点をFedウォッチャーが分析

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黒田東彦総裁の下で4月に「異次元緩和」を打ち出した日本銀行。しかし、「イールドカーブ全体の金利低下を促す」はずが、異次元緩和後、全期間で金利は上昇。債券市場のボラティリティが高まり、不安定化している。東洋経済オンライン「Fedウォッチャー」のエコノミスト・小野亮氏が、日本銀行・黒田総裁に7つの緊急提言。
11日の黒田発言に注目が集まる(写真は4月4日の会見時、撮影:尾形 文繁)
提言1:声明文を重視せよ

5月22日の声明文(「当面の金融政策運営について」)では、2%という「物価安定の目標」の達成時期について、4月4日に示していた「2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」という文言が削除されていた。記者会見で黒田総裁は、「考え方を変えたということはない」「単に、ここでもう一回繰り返さなかっただけ」と答えている。

重要な時間軸を突如声明文から削除しても、それが大きな意味をもたない、とでも言うような回答は明らかに間違いだろう。

会見で説明すれば十分という考えなのかもしれない。しかし、コミュニケーション政策のツールとしての声明文の重要性は、会見と比べて劣るものではない。むしろ、うまく練られた声明文であれば、会見は本来不要なのである。声明文の変更が大きな意味を持たないケースがない訳ではないが、「2年程度」というのは重要な時間軸を示す文言であり、「繰り返さなかっただけ」で済む話ではないはずだ。

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