日本銀行・黒田総裁へ、7つの緊急提言 日銀「異次元緩和」の弱点をFedウォッチャーが分析
筆者は、「2年程度の期間を念頭に置いて、出来るだけ早期に実現する」という時間軸が5月22日の声明文から削除されたこと自体、歓迎である。黒田総裁は「考え方を変えたということはない」などと答えるべきではなく、曖昧に受け答えすればよかった。なぜか。
黒田総裁の回答通りだとすれば、日銀の時間軸は「2年程度の期間を念頭に置いて、出来るだけ早期」という暦ベースと、「(物価安定を)安定的に持続するために必要な時間まで」という経済的条件ベースのものと2つあることになり、結局、時間軸が定まらないのである。
時間軸が定まらなければ、金利は不安定化する。ちょうどアメリカの金融市場がQE3(月850億ドルの証券購入策)の継続期間を巡って思惑が交錯し、金利が不安定化しているように。
また経済的条件ベースの時間軸は足元の経済実態とそれに基づく経済見通しに応じて柔軟に伸縮する。しかし、暦ベースの時間軸はそれが発せられた時点から短くなり始め、意図せざるタイトニング(あるいは緩和効果の低下)が起きる。FRB(米国連邦準備制度理事会)だけではなく、白川前体制でも、こうした考え方が採用されていた。
「物価安定の目標」達成に熱心なあまり、黒田総裁の時間軸政策は意図せざるタイトニングを内包してしまっている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら