それでもバーナンキがQE3を縮小する理由 HSBCチーフエコノミスト/ケビン・ローガン氏に聞く
――FOMCメンバーが、政策金利の出口についても積極的になっているのではないかと、市場は見ているのでは?
FFレート(政策金利)の見通しについては、3月時点と比較すると、上昇時期の見通しが早まったわけでもないし、予測する上昇幅が大きくなったわけでもない。3月時点では14年から上昇すると見ていた人が、15年にずらしている。また、15年に上昇すると見ていた人々の予測する金利水準がより、収斂(しゅうれん)てきている。FFレートは2015年の半ば、おそらく第2四半期に引き上げられ始め、2015年末に1%になっているだろうという見方が大半を占めている。
過大なバランスシートが政策余地を狭める懸念
バーナンキ議長は政策の変更については、むしろ非常に慎重だといえる。量的緩和の効果とは、資産価格を上げることを基本に設計されているが、資産価格を上げることだけが目的なのではなくて、それによって、資金調達をしやすくし、人々に富の効果を味わってもらうことで、信頼感を向上させたいと思っている。したがって、資産効果が下がるとそうした効果を相殺してしまうから、市場に悪い反応が出ることを気にしている。もし、景気が悪くなれば再び金融緩和を拡大させることもあると強調している。政策の変更は徐々に、慎重に行うだろう。緩和をやめても景気が悪化することがないような状態にすることを望んでいる。
――バーナンキ議長は、QE3における証券購入の額を縮小しても、まだバランスシートは膨らみ続けるし、購入を停止してもしばらくはバランスシートの規模を維持するので、緩和効果は続くとしています。しかし、市場は「縮小する」といっただけでネガティブな反応をしています。
政策を変更するとなれば、ボラティリティが高まるのは仕方がないことだ。だから、FRBは慎重に動くだろう。QE3政策は昨年の9月以降、効果をあげてきた。資産価値は上がり、住宅価格、株価ともに上昇して、雇用も上向いている。経済はある程度自立的に回復が進む段階に入った、とバーナンキ議長は見ている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら